記事からわかること
- 高圧受電設備の停電・復電方法
- 注意事項
停電の必要性
電気事業法において保安規定に基づき電気設備の保守点検が義務付けられおり、定期点検は年1回程度の頻度で
精密点検はさらに長い周期で電気設備を停止させて行う必要がある。
電気設備内に不具合や故障が発生した場合の改修工事、負荷増加のための増設工事を行う時の電気工事も原則は停電状態で行う必要がある。
電気設備の保守点検や電気工事の際停電を行う理由
- 作業者の安全確保
→充電部に触れるリスクを最小限に抑え、作業者が安全に点検作業や電気工事を行うため - 機器の安全確保
→作業中に機器が誤って起動したり、誤動作するリスクを回避し、機器の損傷を防止するため - 作業の効率的な実施
→電源が入ったでは確認が難しい個所や機器の状態を正確に点検するため。
作業前準備
事業者の責任者や関係者と停電の目的、内容、停電時間、停電範囲などを確認すること、実施日を決定すること。
作業時間は停電から復電まで余裕をもった時間を確保すること。
実施前に当日の作業内容と作業手順を記載した作業計画書を作成すること。
(作業当日までに応援作業者との作業内容の共有、事故防止)
停電操作
- キュービクルの場合は外箱の検電チェックを実施(感電防止)
注意事項として同行者が先に検電チェックをしていても安全とは限らないため(同行者の検電器が故障しているなど)検電は必ず自身が所持している検電器で検電すること
2.低圧ブレーカーの入り切り確認と保護継電器の整定値実施、使用する試験機の準備を行う
3.管理会社or常駐する電気技術主任者と停電打ち合わせの確認(停電時間の確認、PCなどの電源を切ったかの確認) 停電準備完了の確認がとれるまで勝手に動かないこと
4.停電操作の実施。動力、電灯の順にブレーカを開放する(動力はエレベーターや立体駐車場などお客様が利用している設備は特に注意して開放を行う) その後受電保護用VCBorLBSの開放を保護装置によるテストボタン押韻にて実施
自電源による保護継電器試験を実施する場合はここで行う
5.出迎え方式の受電設備は電力会社によるASの開放、構内PASを施設しているところは自らの手でPAS開放をする 検電器による無充電確認及び高圧メーターによる無電圧を確認する。 確認後はDSを開放しDS一次側に三相短絡接地を敷設する(誰かによるPAS誤投入時の事故防止)
6.他電源による保護装置試験の場合は発電機orバッテリーを用いて実施する
自電源による保護継電器試験
停電操作4のところまで実施し、VCBorLBSを開放後、試験機用電源として用いるコンセントが付随している配電盤以外のLBS・VCB・PCを開放する その後、受電用LBSorVCBを投入し、保護継電器試験を実施。(停電時間を考慮して手早く行うこと)
SC用コンデンサは時間がない時でも開放を忘れないこと
(投入時突入電流がコンデンサは他の高圧機器より特に大きいため)
- メリット
- デメリット
継電器試験後忘れやすい操作一覧
保護継電器試験終了後、停電操作5までを行い、その後の高圧機器一括の高圧絶縁抵抗試験を実施するために
各LBS、VCB、PCを投入しておく
→高圧機器一括の高圧絶縁測定試験の際に回路をつなげておくため。
停電・復電の重要ポイント
- DS(断路器)の操作
DSは負荷電流を開閉できないため、操作前にVCBが開放されており、負荷がかかっていないことを確認すること - 開閉器の操作禁止
停電時に開閉器が投入されると非常に危険なため操作されないよう対策が必要
主な対策として、扉への施錠、操作禁止の表示札の掲示、監視人の配置など - 検電
停電の確認は電圧計や表示ランプだけでなく、最後は必ず検電器で確認する必要がある
電圧計や表示ランプが故障している可能性は0ではないため、また検電器は必ず校正したものを持っていくこと。 - 残留電荷の放電
放電抵抗の放電性能は、開放後にコンデンサの端子電圧を5分間で50Vに低減すると規定されている。 - 短絡接地器具
停電後、ヒューマンエラーによりに開閉器が投入されて、高電圧が印加された際、作業員の感電を防ぐため
停電後は、短絡接地器具を取り付けること。
また、復電前には短絡接地器具は必ず取り外すこと - 保護装置
保護装置は常に動作できる状態にしておく。
復電時には、受電と同時に保護装置の電源が入るようにすること
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