MENU

はく電極進相コンデンサ(NH)と蒸着電極コンデンサ(SH)の違い

目次

高圧進相コンデンサの役割

高圧進相コンデンサの主な役割は、力率を改善すること

力率とは、交流回路において発生する無効電流の割合を示します。需要家内で使用される電動機(モーター)を使用す内部にはコイルがあり、それらは誘導性を持ち、遅れ力率と呼ばれる状態を引き起こす。遅れ力率は1より小さい値で表され、力率が悪いほど無効電力が増加します。

高圧進相コンデンサは、この無効電流を抑えるために設置されている。

メリット

高圧側にコンデンサを設置することで、電力会社との契約に対して見かけの力率が改善され、電気代割引制度が適用される。また、直列リアクトルとセットで設置され、突入電流の抑制や高調波の相殺にも役立つ。

デメリット

高圧進相コンデンサは残留電荷がたまりやすいため、停電時に放電作業が不十分である場合、感電の危険性がある。

通常のコンデンサ時の施設

コンデンサ容量が100kvar以下の場合、主遮断装置に高圧限流ヒューズを使用。

コンデンサ容量が100kvar超過の場合は、高圧限流ヒューズが劣化するため、内部圧力異常などによる検出装置を保護装置として用いる。

新電気 2024年7月号 p53 工事期間中の点検・確認ポイントより引用

保護装置の有無

はく電極進相コンデンサ(NH)には1次側に限流ヒューズの施設が推奨されている。

蒸着電極コンデンサ(SH)には保安装置を内蔵したコンデンサの採用、又はコンデンサ付属の保護接点の使用により電路から切り離す適当な装置を施設することが推奨されている。

→2020年に高圧受電設備規定が改定され、SHコンデンサには限流ヒューズ施設の推奨がなくなった

参考文献:高圧受電背設備規定 JEAC 2020年度版より

はく電極進相コンデンサ(SH)と蒸着電極コンデンサ(NH)の絶縁破壊時の現象

・はく電極進相コンデンサ(NH)

誘電体の絶縁破壊が起こると、コンデンサ内の素子が短絡状態になる。直列接続された素子が過電圧になり次々に破壊、短絡されして完全短絡にいたる。完全短絡時には非常に大きな短絡電流が流れ、その短絡電流がコンデンサ内に流入することによって、内部で大量のガスが発生し、容器の変形、亀裂が生じる。

・蒸着電極コンデンサ(SH)

誘電体が絶縁破壊されても、自己回復により、絶縁回復し運転が継続可能。しかし、自己回復時には少量ながら絶縁油および絶縁物の分解ガスが蓄積される。そのため、将来的にはケース破壊される可能性はある。

注:はく電極コンデンサで使用される限流ヒューズではコンデンサの保護はできない

NH式コンデンサ(箱電極)の保護方式 について

NH式コンデンサにおいて内部の破壊過程は、まず1個の素子の破壊から始まり
順次短絡と開放を繰り返して最終的に短絡に至る。

①機械的保護方式

コンデンサ内部で線間または部分的短絡が発生するとアークにより、絶縁油が分解しガス化する。
これにより、内圧が上昇しケースが膨張するので、この変位を
ケース側面に取付けたマイクロスイッチの信号により遮断器をトリップさせてコンデンサを切り離す方式。

定格電流が小さい小容量コンデンサでは、素子破壊過程での内部アーク熱が小さく
絶縁油をガス化するだけのエネルギーが少ないためふくらみにくい場合がある。

②電気的保護方式

限流ヒューズを使用するのが一般的。
限流ヒューズは、短絡電流を極めて短時間で遮断できる機能を持っており
この能力は他の遮断装置では代替できません。
しかし限流ヒューズは大電流での限流遮断性能は非常に優れているが
溶断時間が長くなる小電流領域の遮断は困難な場合がある。

なお、NH式コンデンサでは故障時の電流の大きさと故障電流の通電時間によりケースが破壊するかどうかがきまる。
破壊防止のためには、安全帯側の範囲で故障電流を遮断できる特性の限流ヒューズを選定する必要がある。

SH式コンデンサ(蒸着電極)の保護方式

SH式コンデンサの故障現象は、素子破壊時の様相がNH式コンデンサの場合と異なり
素子が破壊しても自己回復作用により破壊部の電流は遮断され容量は多少減少しますが、そのまま使用が可能。
また、絶縁破壊状態でも、蒸着金属膜の抵抗のために大きな短絡電流は流れない。

ただし、破壊部の発熱により分解ガスが発生じ、徐々に内圧が上昇し、最終的にはケースの破壊に至ることはNH式コンデンサと同じ。

①機械的保護方式

通常は、コンデンサに内蔵された機械的な保護装置が使用される。
これは、保安装置と呼ばれ、上図のようにケースの変形力(ふくらみ)を利用して
電流通路(リード板)を機械的に切断するもの。
保安装置以外の機械的保護装置としては、保護用接点により遮断器をトリップさせる方式がある。
これは、分解ガスによる内部圧力上昇により動作する接点を使用したもの。

②電気的保護方式

SH式コンデンサは素子短絡時でも、電流が大きく増加しないため
限流ヒューズによる過電流保護法式では保護できない場合が多い。
しかし、二次災害防止や外部短絡事故などの保護のために、限流ヒューズを取り付けることは重要となる。

参考文献

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.nichicon.co.jp/_assets/images/business/capacitors_power_equipment/006_010.pdf?v=20230516

ニチコン 進相コンデンサ

新電気2109年12月号  現場のギモン?解決塾 第12回コンデンサの保護で気をつけることは? 
より一部引用

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

名無し へ返信する コメントをキャンセル

CAPTCHA


目次