停電点検の原則と「延伸」のメリット

高圧で受電しているお客さまの設備は
電気事業法により、原則として1年に1回、停電を伴う年次点検を実施することが定められている。
しかし、一定の条件を満たせば、この停電による点検を「3年に1回」へと延伸することが可能となる。
→無停電年次点検
停電点検の頻度を減らす(延伸する)ことには
以下のような大きなメリットがある。
年次点検による停電回数を減らすことで、点検時に発生する
お客さまのさまざまな負担(休業対応、システム停止・復旧作業など)を大幅に軽減できる。
停電点検を「3年に1回」にできる要件

経済産業省の「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」において
停電点検の延伸に係る要件が明確化されている。
原則として年次点検は1年に1回以上行うが
「信頼性が高く、かつ、同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器」については、停電により設備を停止状態にして行う点検を3年に1回以上とすることができる。
「信頼性が高い機器」の5つの条件
機械器具自体の要件
設備を構成する個々の機械器具において
設計上、製作上又は施工上支障があるものではないことが求められる。
設備構成の要件
保安上の観点から、設備構成に一定の信頼性が認められるものであり
以下のすべてに適合する必要がある。
●柱上に設置した高圧変圧器がないこと。
●高圧負荷開閉器(キュービクル内に設置するものを除く)に可燃性絶縁油を使用していないこと。
●責任分界点またはこれに近い箇所に、地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器(PAS)または地絡遮断器(UGS)が
設置されていること。
●責任分界点から主遮断装置の間に、電力需給用計器用変成器や
地絡保護継電器用変成器などの定められた変成器以外の変成器がないこと。
設置環境の要件
設備環境上支障のあるものではないこと(適切な対策が講じられているものは除く)が必要となる。
腐食性ガスや可燃性ガス等の滞留する場所、高温多湿、塩害による
保安機能の支障が生じる環境に設置されていないことが条件となる。
使用実績・維持管理状況の要件
前回の停電年次点検や、直近までの月次点検の結果(修理等を行った場合はその結果も含む)に
支障がないことが求められる。
また、製造者等が推奨する取替更新時期内であること
あるいは次回の停電年次点検までの期間について
保安に関する適正な余寿命評価を行っている必要がある。
保安管理体制の要件
保安管理に係る体制に支障のあるものではないことが必要。
実務における注意点

「無停電=点検しなくてよい」ではない
停電点検を3年に1回に延伸したからといって
間の2年間何もしなくて良いわけではなく
停電しない年であっても、外観点検やサーモグラフィーを用いた
異常発熱の確認、超音波・放電検出器等を用いた絶縁劣化の兆候確認など
「停電点検と同等と認められる点検」を確実に実施する必要がある。
機器の更新推奨時期の管理がシビアになる
要件にある通り、「製造者が推奨する取替更新時期内」であることが条件の一つとなる。
高圧機器(特にPASやUGS、高圧ケーブルなど)の更新推奨時期(おおむね15年〜20年程度)を
超過している設備では延伸が認められないため
お客さまに対する計画的な更新提案が重要になる。
保安規程の変更届出が必要
停電点検の頻度を変更し、無停電での点検手法を導入する場合
事業場の「保安規程」を変更し、所轄の産業保安監督部へ変更届出を行う必要がある。
規程の運用実態と書類上の記載に乖離が出ないよう、主任技術者としての確実な事務手続きが求められる。
参考文献・引用元
経済産業省 産業保安グループ:「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」
(停電点検を3年に1回へ延伸する要件、信頼性が高い機器の5つの判断基準)
e-Gov法令検索:「電気事業法」第42条(保安規程)、同施行規則第50条
(点検周期の変更に伴う保安規程の作成・変更届出の法的根拠)
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA):「汎用高圧受配電盤の更新推奨時期に関する指針(JEM-TR 144)」
(PAS・UGS・高圧ケーブル等の耐用年数・更新推奨時期15年〜20年の根拠)
各経済産業局 産業保安監督部:「自家用電気工作物 保安規程変更届出手引」
(点検周期見直しに係る届出実務手続き)

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