太陽光発電における「自立運転」とは、電力会社からの電力供給が停止した停電時などに
太陽光発電システムが電力会社の送電網から切り離され、独立して電力を供給する運転モードのこと。
通常、太陽光発電システムは電力会社と連携(連系運転)して電気を供給しているが
停電時には安全のために自動的に連携を停止する。
しかし、自立運転に切り替えることで、太陽光で発電した電気を家庭内で利用できるようになる。
自立運転の仕組みと使い方

停電時の切り替え
停電が発生すると、パワーコンディショナーは自動的に連系運転を停止する。
※多くの場合、手動で自立運転モードに切り替える操作が必要となる。
具体的な切り替え方法はメーカーや機種によって異なるが
パワーコンディショナーの運転スイッチやブレーカーを操作する手順が一般的。
一部の蓄電池と連携しているシステムでは、自動で自立運転に切り替わるものもある。
切り替え後、パワーコンディショナーに付属している「自立運転用コンセント」から電気を取り出すことができる。
このコンセントは通常、パワーコンディショナーの側面や、屋内の特定の場所に設置されている。
利用可能な電力
自立運転で利用できる電力は、通常最大1,500W(100V)程度に制限されている。
これは、一般的な家庭用コンセントの容量に合わせて設定されているため。
そのため、同時に使用できる家電製品は限られる。
冷蔵庫や一部の照明、携帯電話の充電、ラジオなど、消費電力の低い機器が中心となる。
電子レンジ、ドライヤー、エアコン(特に200Vのもの)、IHクッキングヒーターなど、消費電力の大きい機器は使用できないか、同時に使用すると電力オーバーでシステムが停止する可能性がある。
発電状況による影響
自立運転は、太陽が出ている日中のみ利用可能。
夜間や曇りの日、雨の日、積雪時など、太陽光が十分に得られない場合は発電量が低下し、電気を使用できない。
※発電量が消費電力を下回る場合も、自立運転が停止することがある。
蓄電池を導入している場合は、日中に発電した電気を蓄電池に貯めておけば
夜間や悪天候時でも電気を利用できるようになり、より安定した電力供給が期待できる。
蓄電池と連携することで、自立運転時の出力が高くなる(3,000W~5,900Wなど)ケースもある。
自立運転のメリット・デメリット

メリット
- 停電時の非常用電源
災害などによる停電時でも、最低限の電気を確保できるため
情報収集(ラジオ、テレビ)、食料の保存(冷蔵庫)、携帯電話の充電など
生活維持に必要な機器を動かすことができる。 - 電気代の削減(通常時)
自立運転は停電時に限らず、日中の発電した電力を自家消費することで
電力会社から購入する電気量を減らし、電気代を削減する効果もある。
デメリット
- 利用できる家電の制限
前述の通り、最大1,500Wという制限があるため、すべての家電を普段通り使えるわけではなく
特に消費電力の大きい家電は使用できないことが多い。 - 日中に限られる
太陽光発電のため、夜間や悪天候時には利用できない。
安定した電力供給を望む場合は蓄電池の導入を検討する必要がある。 - 自立運転用コンセントからの給電
家庭内のすべてのコンセントに電気が供給されるわけではなく
パワーコンディショナーの近くにある専用の「自立運転用コンセント」からのみ電気を取り出せる。
事前に位置を確認しておくことが重要。 - 手動での切り替えが必要な場合が多い
停電発生時に手動で自立運転に切り替える必要がある機種が多い。
操作方法を把握し、いざという時に慌てないようにしておく必要がある。 - 自動停止と再開
天候の変化などで発電電力が低下すると、自立運転は自動的に停止する。
翌朝、再び太陽が出ても自動では運転を開始しない場合があるので
その都度手動で再開操作が必要なことがある。 - 医療機器への接続禁止
生命に関わる医療機器を自立運転コンセントに接続することは絶対に避けること。

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