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単線結線図で見る各機器の役割まとめ

図面を持った女性作業員のイラスト
目次

単線結線図についての概略

単線結線図は、建物や工場などの電気設備の配線系統をシンプルに示した図面のこと。
文字どおり、複数の電線を1本の線で表すことで、複雑な配線をひと目でわかりやすくすることが目的となる。

単線結線図の主な特徴

  • 簡略化された表記
    電線の本数に関係なく、1本の線で表現する。
    たとえば、三相交流の3本の電線は、1本の線の上に斜め線を3本引いて示される。
    これにより、図面がごちゃごちゃせず、全体の構成を把握しやすくなる。
  • 記号の使用
    配電盤、変圧器、開閉器、遮断器といった電気機器は
    JIS規格などで定められた専用の記号(シンボル)で表される。
    これらの記号を読み解くことで、どのような機器がどこに設置されているかがわかる。
  • 電気の流れと容量の確認
    受電点から各負荷設備(照明やコンセントなど)までの電気の流れや
    機器の容量、電圧などの情報を確認できる。
    これにより、システムの安全性や効率性を判断するのに役立つ。

単線結線図例

高圧受電設備の単線結線図と、各機器の写真

単線結線図に記載される主な機器一覧

PAS: 柱上気中開閉器
CT: 変流器
OCR: 過電流継電器
ZCT: 零相変流器
ZVT: 零相計器用変圧器
DGR: 地絡方向継電器
LA: 避雷器
CVT: トリプレックス形高圧架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
VCT: 電力需給用計器用変成器
DS: 断路器
VT: 計器用変圧器
VCB: 真空遮断器

LBS: 高圧交流負荷開閉器
PF: 電力ヒューズ
PC: ヒューズ付き高圧カットアウト
Tr: 変圧器
SR: 直列リアクトル
SC: 進相コンデンサ
MCCB: 配線用遮断器

各機器の図記号と役割

PAS(柱上気中負荷開閉器)

PAS(VT・LA内蔵)とZCT・ZPDの単線結線図記号
高圧気中負荷開閉器(PAS)の外観

柱上気中負荷開閉器 (Pole Air Switch: PAS) に設置されている開閉器。
点検時に構内を停電させる場合はPASを開放する。
PAS は空気を消弧媒体としており、負荷電流を開閉する機能を持っているが
短絡電流などの大電流は遮断できない。
地絡事故が生じた際は地絡方向継電器 (or 地絡継電器) から
トリップ信号が送られてPASが開放する (=構内停電)
※地中ケーブルから受電する場合は地中線用負荷開閉器 (Underground Gas Switch : UGS) を使用する。

ケーブルヘッド(Cable Head) CH

ケーブルヘッド(CH)の図記号

キュービクル内のケーブルヘッドの写真

キュービクルに引き込んだ高圧ケーブルを受電設備と接続するため端末処理を施した部分。
ケーブルヘッドには接地線が取り付けられるようになっており
地絡継電器を動作させるために遮へい層が接地される。

電力需給用計器用変成器(Combined Voltage and Current Transformer) VCT

電力需給用計器用変成器(VCT)と電力量計(Wh)の図記号
キュービクル内の電力需給用計器用変成器(VCT)の写真

計器用変成器により高圧を低圧に、変流器により電流を小さくして
電力量計に入力することで電力量を測定し電気料金を計算する機器。
※VCTは電力会社の設備。

断路器(Discinnect Switch) DS

断路器(DS 7.2kV 400A)の図記号
キュービクル内の断路器の写真

断路器は、停電して高圧回路の点検を行うときや、工事などのときに
回路を確実に切り離す場合に使用する。
断路器は、負荷電流を開閉することができないので
遮断器の電源側に設けて遮断器により電流を遮断した後、開閉操作を行う。

計器用変圧器(Voltage Transformer) VT

計器用変圧器(VT)の図記号
計器用変圧器(VT)の外観

高圧6600Vを直接計器(電圧計や電力計、電力量計など)に入力するには
各計器に高い絶縁性能を持たせる必要があるうえに、地絡が生じると危険なので
6600Vを使用・計測しやすい1/60の110Vに降圧する。また、継電器に電源電圧を供給する働きを持つ。

※計器用変成器は遮断装置の一次側に設けており、主遮断装置をOFFにしても電源は供給される。

真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker) VCB

真空遮断器(VCB)の図記号
キュービクル内の真空遮断器(VCB)の写真

CB形主遮断装置に用いられ、負荷電流や過電流、短絡電流を遮断する。
単体では異常電流の検知ができないため、後述する過電流継電器から信号をもらい、回路を遮断する。

変流器(Current Transformer) CT

変流器(CT)の図記号

変流器(CT)の外観

計器用変圧器(VT)と同様に、大きな電流をそのまま各計器に流すのは危険なため
高圧側の電流を定格電流/5Aに変換する。また、過電流継電器(OCR)へ供給する。

過電流継電器(Over Current Relay )OCR

過電流継電器(OCR)の図記号
三菱電機製の過電流継電器 MOC-A1T-R

変流器で検知した電流値が、事前に設定した過電流(限時)・短絡電流(瞬時)の値を超えた際に
遮断器へトリップ信号を送り、遮断させる。

配電用変電所との過電流保護協調を図るために
配電用変電所よりも早く遮断できるよう整定する。
また、電流の検出はR相とT相のそれぞれで行う。

電圧計(Voltmeter )V  電流計(Ammeter)A などの各計器

電流計切替スイッチ(AS)・電圧計切替スイッチ(VS)の図記号
盤に取り付けられた電圧計と電流計の写真

電圧計や電流計、電力計、電力量計などの各計器は
計器用変成器の低圧側の電圧と変流器の電流を使用して、指示値を表示させる。

高圧交流負荷開閉器 (Load Break Switch )LBS

限流ヒューズ付き高圧交流負荷開閉器(PF付LBS)の図記号
キュービクル内の限流ヒューズ付きLBSの写真

PF・S形の主遮断装置や、変圧器やコンデンサなどを保護する開閉器として使用される。
通常、LBSは負荷電流しか開閉することができないので
短絡電流や過電流が発生した際に回路を遮断するために、主に限流ヒューズ(PF)が用いられる。

変圧器 (Transformer ) Tr

単相変圧器と三相変圧器(Y-Δ)の図記号
キュービクル内の油入変圧器の写真

電圧を昇圧・降圧させる機器。キュービクルでは主に
6600Vの高圧を低圧(210Vや105V)に降圧させるために使用する。

高圧カットアウト (Primary Cutout Switch ) PC

高圧カットアウト(PC)の図記号
キュービクル内の高圧カットアウトの写真

単体では開閉器の役割で、ヒューズを装着することで過負荷保護を行うことができる。
変圧器は300kVAまで、進相コンデンサは50kvarまで保護が可能。

進相コンデンサ (Static Capacitor )SC

進相コンデンサ(SC)の図記号
進相コンデンサの内部のイラスト

誘導電動機、蛍光灯などの電気機器は、誘導性の負荷なので、遅れの無効電力を生じる。
この遅れの無効電力を相殺し、力率を改善する機能を有するのが進相コンデンサとなる。
電力会社では、基本料金に対し力率割引制度を設けており
力率 85%を基準にして、100%になるまで割引(最大割引 15%)が受けられるので
高圧進相コンデンサが設置される。
また、力率改善により電力損失が低減する効果もある。

直列リアクトル (Series Reactor )SR

直列リアクトル(SR)の図記号

直列リアクトルの外観

進相コンデンサ(SC)には、高調波を増幅させてしまう作用がある。
これは、電源側の誘導性リアクタンスと進相コンデンサによる容量性リアクタンスが
並列に接続されていることにより、並列共振作用が引き起こされるため。
直列リアクトルを設置して、合成インピーダンスを誘導性にすることでこれらを防止する。
また、直列リアクトルには進相コンデンサ投入時に発生する突入電流を抑制する働きもある。

地絡継電器(Ground Relay) GR、地絡方向継電器(Directional Ground Relay)DGR(SOG)

地絡継電器(GR)と地絡方向継電器(DGR)の図記号
長谷川電機工業製の高圧地絡継電器 RHG-1 の写真

零相変流器(ZCT)で地絡電流を検出し、PASにトリップ信号を発信する装置を地絡継電器という。
地絡継電器はPASと合わせて波及事故防止の要であり、非常に重要な装置となる。

地絡継電器のデメリットである、もらい事故による誤動作を改善したのが地絡方向継電器となる。
零相計器用変圧器(ZVT)から零相電圧を検出することで、地絡方向継電器が構内の地絡事故のみに動作する。

避雷器(Lightning Arrester )LA

避雷器(LA)の図記号

避雷器(LA)の外観

建物に直接雷が落ちたり(直撃雷)、近くの配電線に雷が落ちると雷サージ(過電圧)が
線を伝って需要家構内に入り機器に影響を及ぼすことがある(誘導雷)。
このため、高圧架空電線路から供給を受ける最大電力 500kW 以上の受電設備は
電技解釈第 37 条により避雷器の設置が義務付けられている。

雷により被害を受けるリスクは受電設備の容量に関係しないで
最大電力 500kW 未満の受電設備においても、襲雷頻度の高い地域については自主的に設置するのが望ましい。


避雷器は雷サージが生じた際に電路を切り替えることで大地に雷サージを放出することで電路や機器を保護する。
なお、PASのなかに内蔵されていることもある。

参考資料

新電気2024年3月号 キュービクル解体新書より一部引用

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この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

2. 経歴・実務経験
電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

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