供給支障電力(きょうきゅうししょうでんりょく)とは、停電などの電力トラブルによって
「本来なら供給されるはずだったのに、供給できなかった電力の大きさ」を表す用語。
→停電によって、どれくらいの規模の電気が止まってしまったかを示す数値
電力会社や電気主任技術者が、事故の規模や影響度を評価する際や
国(産業保安監督部)へ事故報告をする際の判断基準として非常に重要になる。
目次
kWとkWhの違いについて(補足)
| 用語 | 単位 | 意味 | イメージ |
| 供給支障電力 | kW (キロワット) または MW | 停電の「規模(深さ)」 事故発生時に、どれだけの負荷(需要)が遮断されたか。 | 蛇口から出る水の勢いが止まった量 |
| 供給支障電力量 | kWh (キロワットアワー) | 停電の「総量(被害量)」 供給支障電力(kW) × 停電時間(h) で算出される、失われたエネルギーの総量。 | 蛇口が止まっている間に、本来溜まるはずだった水の総量 |
一般的に「供給支障電力」と言った場合
kW(規模)を指すことが多いが、被害の大きさを語る文脈ではkWh(電力量)が使われることもある。
供給支障電力の重要性について

① 事故報告の義務(法律)
電気事業法(電気関係報告規則)により、一定規模以上の供給支障が発生した場合
国への報告が義務付けられている。
具体例
供給支障電力が7,000kW以上(電圧や場所による)の停電が発生した場合など
「どれくらいの電力が止まったか」が報告の要件になる。
② 信頼性の評価(電力会社)
電力会社は「どれだけ安定して電気を届けられたか」を評価するためにこの数値を使用する。
③ 損害の推定
工場などでは、供給支障電力量(kWh)を元に
生産停止による損害額を推定する基礎データとして使われることがある。
供給支障電力の計算例

例:工場で停電が発生した場合。
- 工場の稼働状況: 常に500 kWの電力を使っている。
- 停電時間: 2時間 停電。
- 供給支障電力(規模) = 500 kW
→「500kW分の設備が止まった」。 - 供給支障電力量(総量) = 500 kW × 2 h = 1,000 kWh
→「1,000kWh分の電気が供給されなかった」。
実際には負荷(使用電力)は常に変動しているため
「事故発生直前の負荷」を供給支障電力とみなして計算するのが一般的。

コメント