受変電設備の遮断器(VCB)などを
電流引きはずし方式(CT引きはずし)で動作させるために不可欠な設備の1つ。
これらは、停電時や制御電源(AC/DC電源)がない状態でも
事故電流そのものを利用して遮断器をトリップさせるための重要な役割を持っている。
電流トリップ補助箱の役割

通常、遮断器を遠隔やリレーでトリップさせるには「外部電源」が必要だが
小規模な受電設備などで制御用バッテリー(電源)を備えていない場合
電流引きはずし方式が採用される。
地絡保護のための継電器(HGR,DGR)のほとんどが電圧引き外し方式のため
電流トリップ補助箱を介して電流引き外し方式に切り替える必要があるための用いられている。
電流引き外し方式の動作原理

1. 回路に過電流が流れる。
2. 変流器(CT)がその電流を検出し、過電流継電器(OCR)へ送る。
3. OCRが動作し、その接点が「電流トリップ補助箱」内の回路を切り替える。
4. CTの二次電流が直接、遮断器のトリップコイル(TC)に流れ込み、遮断器を落とす。
各製品の特徴と詳細
三菱電機製:MG-X1
- 主な用途: 三菱製MCCBやACBの電流引きはずし(CTトリップ)用。
- 構造: 内部には整流器や抵抗器が含まれており、CTからの電流をトリップコイルに適した形に整える。
- 特徴: 信頼性が高く、三菱製の保護継電器(MELPROシリーズなど)との整合性が取れており
古い設備から現行設備まで幅広く見られる。
光商工製:CF-15A
- 製品名: 電流引外し用リレー(またはトリップ箱)。
- 仕様: * 定格電流: 5A(CT二次側定格に対応)。
- 短時間耐電流: 40A(1秒)や20A(連続)など、事故時の大電流に耐える設計。
- 特徴: 非常にコンパクトで、盤内の省スペース化に貢献する。他社製(三菱、富士、東芝など)の遮断器とも組み合わせて使用されることが多く、汎用性が高いのが特徴。
オムロン製:AOF-1N
製品名:電流引外しリレー(形名:AOF-1N)
- 仕様: * 定格電流: 5A(CT二次側)。
- 短時間耐電流: 40A(1秒)。
- 定格周波数: 50/60Hz共用。
- 特徴: 他社製品に比べて*薄型かつ軽量」なのが最大のメリット。
取付方向の自由度が高く、DINレールへの取り付けにも対応しているため
盤内レイアウトの柔軟性が上がる。 - 互換性: 三菱、富士、東芝といった主要メーカーの遮断器(VCB)との組み合わせ実績が豊富。
特に受電盤の小型化を優先する設計者によく選ばれている。
主な仕様比較(目安)

保守点検時の注意点

- 接点の荒れ
事故電流(大電流)を切り替えるため
一度動作した後は内部接点が消耗している可能性がある。
動作後は点検が推奨される。 - トリップコイル(TC)とのインピーダンス整合
補助箱と遮断器のトリップコイルの組み合わせが不適切だと
電流が足りずに遮断器が落ちない(不動作)のミスに繋がる。
必ず指定の組み合わせを確認すること。 - 断線テスト
遮断器の試験(リレー試験)の際は、この補助箱を経由して実際に
遮断器がトリップするかを確認することが重要となる。
交換推奨時期について
多くのメーカーや日本電機工業会(JEMA)の指針では、受変電設備の補助リレー類や電子部品の更新推奨時期を10年〜15年としています。
なぜ交換が必要か?(劣化の要因)
- 内部接点の酸化・硫化
長年動作していないと、接点表面に皮膜ができ
いざという時に電流が流れにくくなる(接触抵抗の増大)ことがある。 - サージ吸収素子の劣化
雷サージや開閉サージを吸収する素子(バリスタ等)が内蔵されている場合
経年劣化により保護機能が低下する。 - 絶縁材料の劣化
盤内の熱や湿度により、内部の絶縁抵抗が低下する。
保守点検時のチェック項目
- 動作試験(連動試験)
リレー試験器を用いてOCRを動作させ、実際に遮断器がトリップするかを確認する。 - 外観確認
ケースにひび割れはないか、端子部に過熱による変色(変色、焦げ跡)はないかを確認する。 - 端子の増し締め
振動等でネジが緩んでいると、事故電流が流れた際に火花が散ったり
正常にトリップしなかったりする原因になる。
参考資料
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/pror/k-k06-1-c5715/K-K06-1-C5715-S.pdf
三菱保護継電器 [高圧受配電用] MELPRO™-Aシリーズより画像引用

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