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スター(Y)デルタ(Δ)結線についての基礎まとめ

三相交流回路における「スター(Y)結線」と「デルタ(Δ)結線」は
電気機器、特に三相誘導電動機や変圧器などで広く用いられる基本的な結線方法
それぞれ異なる特性を持ち、用途によって使い分けられる。

目次

スター(Y)結線について

三相交流の各相のコイル(巻線)の一端を一点に集め
そこを共通の中性点とする結線方法。
Y字型に見えることからY結線、または星形に見えることからスター結線と呼ばれる。

スター(Y)結線の特徴

  • 線間電圧と相電圧の関係:
    • 線間電圧(VL​):電源線間の電圧。
    • 相電圧(VP​):各相のコイルにかかる電圧(相と中性点間の電圧)。
    • Y結線では、VL​=3​VP​ の関係がある。
      相電圧は線間電圧の 1/3​ 倍。
  • 線電流と相電流の関係:
    • 線電流(IL​):電源線に流れる電流。
    • 相電流(IP​):各相のコイルに流れる電流。
    • Y結線では、IL​=IP​ の関係がある。
  • 中性点の存在: 中性点があるため、相と中性点の間で単相負荷を接続したり
           中性点を接地して安全性を高めることができる。
  • 第3高調波: 第3高調波電流の環流回路を持たないため
  • 電圧波形がひずみやすい場合がある(特にY-Y結線の場合)。
  • 始動電流の抑制: 三相誘導電動機の始動時にスター結線を用いることで
    相電圧が低くなるため、始動電流を抑制できる。これは「スターデルタ始動」として利用される。

スター(Y)結線のメリット・デメリット

メリット
●中性点があるため、単相負荷を接続できる。
●中性点を接地することで、異常電圧を抑制し、保安上有利になる。
●電動機の始動時など、大電流を抑制したい場合に有効

デメリット
●Y-Y結線では、第3高調波による電圧波形のひずみや通信障害が発生する可能性がある。

デルタ(Δ)結線

三相交流の各相のコイルを三角形(デルタ)の形に接続する結線方法。

Δ結線の特徴

  • 線間電圧と相電圧の関係:
    • Δ結線では、VL​=VP​ の関係がある。
      線間電圧と相電圧は等しくなる。
  • 線電流と相電流の関係:
    • Δ結線では、IL​=3​IP​ の関係がある。
      相電流は線電流の 1/3​ 倍になる。
  • 中性点の不在: 中性点がないため、単相負荷の接続には適しない。
  • 第3高調波: 第3高調波電流がΔ結線内で環流するため、外部に流出せず、電圧波形のひずみを抑制できる。
  • V結線: Δ結線の一部が故障して1相欠損しても、
        残りの2相で三相電力を供給できる「V結線」として運転を継続できる。
    ※出力は低下する。

Δ結線のメリット・デメリット

メリット
●励磁電流の第3高調波が内部で環流するため、ひずみが少ない。
●1相が故障してもV結線として運転を継続できるため、信頼性が高い。
●低電圧・大電流の用途に適している(巻線電流が線電流の 1/3​ になるため)。

デメリット
●中性点がないため、接地が必要な場合に不便。
●スター結線に比べて、電動機の始動時に大きな電流が流れる傾向がある。

スターデルタ(Y-Δ)始動方式

三相誘導電動機の始動によく用いられる方法。

  • 原理
    電動機を始動する際、一時的にコイルをスター(Y)結線にして電源電圧の 1/3​ 倍の電圧を印加する。
    これにより、始動時に流れる電流を抑制し、電動機や電源設備への負担を軽減する。
  • 電動機が加速し、十分に回転速度が上がった後、自動的にデルタ(Δ)結線に切り替えて
    定格運転に入る。デルタ結線では、コイルに直接電源電圧が印加されるため、大きな出力を得られる。

スターデルタ始動のメリット・デメリット

メリット
始動電流の抑制:
スター結線時の相電圧が低くなるため、始動電流を定格電流の約1/3に抑制できる。
これにより、電源設備の容量を小さくできたり、電圧降下を抑えられたりする。

設備コストの削減:
過大な電流対策のためのブレーカーや配線の容量を大きくする必要がなくなるため
設備コストを抑えられる。

デメリット
始動トルクの低下
始動電流が抑制される代わりに、始動トルクも低下する。
そのため、比較的負荷の軽い状態で始動する場合や、始動時のトルクが
それほど必要ない電動機に適している。

切り替え時のショック
スターからデルタへ切り替わる瞬間に
電圧や電流に変化が生じるため、機械的なショックや
電気的な過渡現象が発生することがある。

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