停電種別の確認フローチャート
停電種別の各対応方法について
受電電圧の確認
停電発生時に最初に確認することは、受電電圧の確認。
電圧計を設置している場合はそれを用いて確認、未設置の場合は高圧用検電器で確認を行うこと。
受電電圧が三相とも正常の場合、停電原因は構内であることがわかる。
次に受電用遮断器や保護継電器の状態を確認する。
受電電圧に正常相と異常相がそれぞれ存在する場合は、配電線路や引き込み施設での欠陥の可能性
もしくは、電圧計や計器用変圧器の故障も考えられる。
電圧計による受電電圧が「0」である場合も、検電器での電圧の有無を必ず忘れないようにすること。
検電器で電圧が確認された場合、1相のみが供給されている場合や電圧計などの電圧表示部分の故障が考えられる。
電圧計及び検電器での無電圧が確認されて、かつ引き込み口の地絡保護継電器付き負荷開閉器の保護装置が動作していない場合は、配電線側(電力会社の責任範囲内)による停電可能性が大きい。
停電の原因が不明の場合は、自家用構内からの波及事故の可能性もあるため、配電線の故障状態
(零相電圧の有無、保護継電器の動作種別など)を確認しておくとともに自家用構内の開閉器の状態(開閉状態、継電器の作動状況など)を情報として電力会社に伝えておく。
保護装置の動作確認
受電電圧が3相とも正常の場合、受電設備の保護継電器の動作状況を確認する必要がある。
①地絡保護装置付き負荷開閉器(GR付PASやUGS)が動作している場合は、下図のGRやSO動作表示器を確認する。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.energys.co.jp/denzai/pdf/sog_manual.pdf
エナジーサポート 過電流ロック形高圧気中開閉器 取り扱い説明書より画像引用
G動作表示器が動作している場合、保護検出範囲内での地絡による停電故障調査を行う。
SO動作表示器が動作している場合は、過電流による停電調査を行う。
②受電用遮断器が動作している場合は以下の調査を行う。
●地絡継電器が動作している場合、保護検出範囲内での地絡による停電故障調査を行う。
●過電流継電器が動作している場合は、過電流による停電調査を行う。
●地絡継電器及び過電流計継電器ともに動作していない場合は、遮断機の故障や誤動作が
考えられるため遮断機の動作試験を実施する。
特に使用年数の長い遮断器は、振動で動作することもあるため注意が必要。
●上記の調査に不良が見つからなかった場合保護継電器そのものが故障している可能性も考えられる。
地絡検電器及び過電流継電器の動作特性試験を実施する必要がある。
故障診断
地絡継電器が動作している場合
構内の高圧設備での地絡故障を検出している状態であり、高圧設備の絶縁破壊が起こっている可能性がある。
以下、点検内容を記載する。
①目視による点検
点検内容
- 機器外箱の変形や亀裂
- ブッシングの破損、汚損、焼損
- 絶縁物表面のリーク痕跡
- 異臭の確認
- 電線接続部の過熱の痕跡や熱による変色の有無
- 雨水侵入
- 結露の有無
- 小動物による充電物への接触の有無
- 樹木や飛来物の接触の有無
- 掘削によるケーブル損傷の有無
②絶縁抵抗計による測定
故障状態が継続して、機器などが絶縁破壊している状態の場合、絶縁抵抗計による測定によって故障機器を
特定することが可能。
測定時は使用電圧に近い5000Vや10000Vの絶縁抵抗計を使用するのが望ましい(高メガ)
手元に低メガしかない場合は1000Vメガレンジで簡易的にメガの測定を実施する。
開閉器で切り分けられる単位で個別に実施し、故障個所を特定する。
故障個所の特定後、特定の個所を切り離し、改修、取り換えなどを実施する。
過電流継電器が動作している場合
地絡継電器が動作している場合と同様に、目視による点検および絶縁抵抗計による測定を行う。
過電流継電器が動作している場合の主原因として線間の絶縁破壊や機器内部での絶縁破壊によるもののため
特に線間部分での焼損に伴う異臭や機器の異常膨張に注意すること。
他の考えられる原因として
- 変圧器の層間短絡
- 小動物の充電部への接触による層間短絡
- 低圧側の短絡
- 過電流、変圧器の励磁突入電流などによる動作
などがあるが、地絡故障と同時に発生することが多い。
低圧側の故障
高圧受電設備の受電電圧、低圧動力盤及び低圧電灯盤の電圧計が正常に指示されている場合で、電灯系統または動力系統の一部が使用不能になっている場合は使用設備の分電盤や制御盤に設置されている過電流継電器(MCCB)や漏電遮断器(ELCB)などが動作している場合がある。
漏電の可能性が高い場合、絶縁抵抗計を使用し、切り分けられる最小単位の回路まで切り分けして調査を行う。
機器の不良の場合はコンセントなどから抜いて、改修が終わるまで使用しないようにする。
また、配線の絶縁不良の場合は開閉器で開放を行い改修の措置をとる。
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