静電形計器の記号

静電形計器の目盛板の下を見ると、上図のような記号が表示されている。
これは、コンデンサの記号とよく似ているが、コンデンサと違うところは
上の電極が〇印で固定されているのに対し、下の電極には↓印がついて可動電極である。
静電形の動作原理をイメージした記号で、本計器が静電形計器であることを示している。
静電形計器可動部の構造について

構造は、電極間の距離が変化する直角方向移動形と
可動電極が回転する平行方向移動形がある。
直角方向移動形

上図のように、可動電極は固定電極に対し、前後する構造になっている。
電極間に吸引力がはたらけば、可動電極は固定電極に近づく。
このとき、つり線で吊られた腕と小さいU字形磁石は一体になって傾斜するため
腕の不平衡重量とつりあって静止する。
U字形磁石の極の間には、パーマロイでできたねじれた板(ヘリックス)があり
指針と一緒に回転するように両側で支えられている。
ヘリックスは、U字形磁石との空隙が最も小さくなるように常に吸引されているので
可動電極が前後に移動するとU字形磁石も直線運動し、ヘリックスは回転することになる。
したがって、それにつながった指針は、可動電極の変位に比例した指示をする。
平行方向移動形

上図のように、極板間の対向面積が増加する方向に可動電極が回転する構造になっている。
一対の固定電極間に可動電極が吸引されて回転する。
駆動トルクとうず巻きばねの制御トルクがつりあった位置で指針が静止し
可動電極の変位に比例した指示をする。
※外部静電界の影響を防ぐために、計器全体は金属板で静電シールドされている。
また、保護抵抗は、電極間の閃絡による大電流によって
計器が破損したり、他に害を及ぼすのを防ぐためのもの。
電極が特殊な形をしているのは、平等目盛に近くするためとなっている。
静電形計器可動部の動作原理

静電形計器は、互いに絶縁された電極に電圧を加えたとき、この間にはたらく静電力を利用している。
そのため原理的には電流計として使用されず、高電圧の測定に多く使用される。
静電形電圧計は、直接電圧によって動作し、測定回路からほとんど電流をとらないので
高電圧・小電流回路(高インピーダンス回路)の測定に適している。
また、周波数特性が良いので、周波数変化に対する誤差が小さく、直流および交流測定における差がない。
静電力は電圧の2乗に比例するので、実効値を指示する。温度の影響は実用上は無視できるが
静電力は極めて小さいので、低電圧の測定には適しない。
測定範囲は、直角方向移動形は電極の距離を変更することで2レンジとなっており10〜500 kV程度
平行方向移動形は単レンジで、500 V〜20 kV程度のものがある。
静電形計器の特徴

① 専ら電圧計(高電圧測定用)として使用される。
② 直流と交流で指示に差を生じない。
③ 交流では実効値を指示する。
④ 目盛は2乗目盛となる(平行方向移動形では平等目盛に近くしている)。
⑤ 直流電圧の測定では、最初の充電電流が流れるのみで、損失を生じない。
また、交流電圧の測定でも電流は非常に小さい。
⑥ 周波数の変化に対する誤差が小さい。
⑦ 外部磁界の影響を受けない。
⑧ 精度等級は2.5で、精密な測定には適さない。
静電形計器の用途

上図:静電形電圧計の測定範囲の拡大
●電圧計(交・直両用)
測定範囲は500V〜500kV程度。
測定範囲の拡大には、分圧器として、直列にコンデンサを用いる方法と
高抵抗を用いる方法がある。
参考資料
新電気2020年10月号 「なるほど納得! 電気計器 [第7回] 静電形計器」より引用

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