高圧受電設備(キュービクルや開放型設備)の月次点検や年次点検を行っていると
フェンスや扉に掲示されている「標識(看板)」が色あせていたり
剥がれ落ちていたりするのを見かけることがある。
これらの標識の掲示は
電気設備に関する法令や消防関係の条例で明確に規定されている。
標識掲示の法的根拠

高圧受電設備の標識には
大きく分けて「電気事故防止」と「火災時の安全確保(消防)」という2つの目的があり
それぞれ根拠となる法令が異なる。
電気設備技術基準の解釈(第38条)による規定
受電設備には、一般の人が誤って触れたり侵入したりして
感電事故が起きるのを防ぐため、見やすい場所に以下の掲示を行う必要がある。
「立入禁止」の標識を設けること
※ただし、工場内など一般の人が立ち入らない場所については
「危険である旨の表示」に代えることが認められている。
火災予防条例による規定
万が一の火災時に、消防隊員が「ここに高圧電気が通っている設備がある」と即座に認識できるよう
各自治体の火災予防条例(例:第11条など)に基づいた標識の掲示が求められる。
「変電設備」の標識を設けること
※キュービクル式高圧受電設備の場合は、JIS C 4620 に規定する注意標識によりこれに代えることが可能。
JIS C 4620 に規定される標識の仕様

標識の寸法・デザイン規定
| 項目 | 仕様・寸法 | 備考 |
| 全体寸法 | 幅 300mm × 高さ 225mm | これより小さいと規格外となるので注意 |
| 中央の雷マーク(警告記号) | 正三角形(1辺 110mm) | 黄色地に黒のフチと稲妻マーク |
| 上部テキスト | 「変電設備」など | 日本語表記 |
| 下部テキスト | 「High voltage substation」 | 英語表記 |
色彩の指定(マンセル値)
看板の色にも厳密な指定があり
自作や安価な非正規品を使用する場合は注意が必要となる。
- 背景色(白):規定の白色
- 警告記号の背景色(黄):マンセル値 7.5Y 8/12
- 文字・記号・フチ(黒):マンセル値 N1.5
実務におけるポイント・現場での注意点

経年劣化による色あせへの対応
屋外に設置されたキュービクルは、直射日光(紫外線)や雨風の影響で
数年経過すると標識の「黄色」や「赤色(危険表示など)」が白く退色してしまう。
文字が読み取れなかったり、警告の雷マークが消えかかっていたりすると
法定の「標識」としての役割を果たしていないと見なされる可能性がある。
保安業務の月次点検時に退色が見られた場合は
早めにオーナーへステッカー(シール)の貼り替えやプレートの交換を提案すること。
市町村ごとの「火災予防条例」の差異に注意
基本的にはJIS規格品(JIS C 4620)をキュービクルに貼付すれば問題ないが
開放型の変電設備や、特高設備などの場合
管轄の消防署(市町村の火災予防条例)によって
「文字の大きさ」
「看板の材質(鉄板・硬質樹脂など)」
「地色と文字色(例:白地に赤文字など)」
が細かくローカルルールで指定されていることがある。
新設や大規模改修の際は、必ず所轄の消防署へ事前確認を行うのがトラブルを防ぐことが推奨される。
「立入禁止」と「変電設備」の併記が基本
実務で一番手早くかつ確実なのは
扉やフェンスの目立つ位置(目線の高さ)に
- 「変電設備(JIS雷マーク)」
- 「高圧危険・立入禁止」
の2枚のプレート・ステッカーを並べて、または一枚にまとまったものを掲示することとなる。
これにより、電技解釈と火災予防条例の両方を確実にクリアできる。

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