漏電リレー(ELR: Earth Leakage Relay)は、低圧の電気回路で漏電事故が発生した際に
その漏電を検出し、警報を発したり、回路を遮断したりする保護継電器のこと。
漏電遮断器(ELB: Earth Leakage Circuit Breaker)とは異なり、漏電リレー自体には遮断機能はなく
一般的には零相変流器(ZCT: Zero-phase Current Transformer)と組み合わせて使用される。
目次
漏電リレーの仕組み

零相変流器(ZCT)による漏電検出
通常の三相交流回路では、各相の電流のベクトル和はゼロになる。
しかし、漏電が発生すると、地絡電流が流れ、このベクトル和がゼロでなくなる。
ZCTは、この変化を検出し、零相電流という形でリレー部に信号を送る役割を持つ。
リレー部での信号処理と出力
リレー部は、ZCTから送られた零相電流信号がある設定値を超えると、接点を出力する。
この出力接点を警報回路に接続すれば漏電警報として利用でき、遮断器のトリップ回路に接続すれば
漏電発生時に回路を自動的に遮断することができる。
漏電リレーの種類

漏電リレーは、その機能や特性によっていくつかの種類に分類できる。
- 無方向性漏電リレー: 零相変流器で検出された漏電電流の大きさに反応して動作する。地絡の方向を判別できないため、上位系統で地絡が発生した場合に誤動作する可能性がある。
- 方向性漏電リレー: 零相電流の大きさに加えて、電圧と電流の位相関係から地絡方向を判別して動作する。上位系統の地絡による誤動作を防ぐことができる。
- 高感度形・中感度形: 設定できる感度電流の違いによる分類。高感度形は小さな漏電電流でも検出できる。
- 高速形・時延形: 漏電を検出してから動作するまでの時間特性による分類。時延形は、不要な瞬時動作を防ぐために、意図的に動作時間を遅らせている。
- 二段警報形: 軽微な漏電と大きな漏電のそれぞれに対して異なる警報や動作を行うことができる。
- インバータ回路対応形: インバータ回路特有の高周波ノイズによる不要動作を防ぐ機能を持っている。
漏電リレーの主な用途

- 漏電警報: 漏電の発生を音や表示灯で知らせ、早期の対応を促す。
- 漏電遮断: 遮断器と組み合わせて、漏電発生時に回路を自動的に遮断し、感電事故や火災を防ぐ。
- 地絡保護: 電気設備の絶縁劣化による地絡事故から設備を保護する。
- 漏電保護協調: 電源側と負荷側の漏電保護機器間で動作順序を調整し、事故範囲を限定する。
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