低圧ケーブルは、日常生活や産業の様々な場所で使われる、電気を送るために不可欠なケーブルのこと。
日本の電気設備技術基準や労働安全衛生規則では
直流で750ボルト以下、交流で600ボルト以下の電圧を扱うケーブルを「低圧ケーブル」と定めている。
目次
低圧ケーブルの主な種類と用途

VVFケーブル(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)
- 特徴
ビニル被覆の外側をビニルシースで覆ったシンプルな構造で、平形をしている。
一般住宅や商業施設、公共施設などの屋内の低圧配線で最も広く使われている。
15A程度までの照明やコンセント回路の電源供給によく用いられる。 - 用途: 屋内配線(コンセント、照明、スイッチなど)
VVRケーブル(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形)
- 特徴
VVFケーブルと同様の特性を持つが、形状が丸形。
VVFと同じく屋内の低圧配線で使われるが、VVFよりも太いサイズのものもある。 - 用途: 屋内配線(VVFより太い電流を流す場合など)
CVケーブル(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)
- 特徴
絶縁体に架橋ポリエチレンを使用しているため
耐熱性や許容電流が大きいのが特徴。そのため、VVFやVVRよりも大きな電流を流す場所や
幹線などによく用いられる。単心、2心、3心、4心など様々な心数があり
CVT(3本より合わせ)、CVD(2本より合わせ)、CVQ(4本より合わせ)といった種類もある。 - 用途: 一般動力回路、屋内幹線、工場、ビルなどの配電設備
各ケーブルの比較と許容温度

新電気2019 9月号 「電線・ケーブル詳細解説」より画像引用
低圧ケーブルの一般的な構造

新電気2019 9月号 「電線・ケーブル詳細解説」より画像引用
低圧ケーブルの基本的な構造は以下の要素から構成される。
- 導体
電気を流す部分で、主に銅が使用される。
単線やより線がある。 - 絶縁体
導体の周りを覆い、電気が外部に漏れるのを防ぐ役割を果たす。
ビニルや架橋ポリエチレンなどが使われる。
高圧ケーブルと比較すると、絶縁層は薄い。 - シース(外被)
絶縁体の外側を覆い、ケーブルを保護する役割を果たす。
外部からの衝撃や水、油などからケーブルを保護する。
ビニルなどが使われる。
高圧ケーブルと異なり
低圧ケーブルには内部半導電層や外部半導電層、遮蔽層といった構造は基本的にない。
※一部の特殊なケーブルを除く
低圧ケーブルの適用規格

低圧ケーブルは、以下の日本の主な規格に準拠して製造・使用される。
- JIS(日本産業規格)
- JIS C 3612 (低圧屋内用絶縁電線)
- JIS C 3605 (600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル) など
- 電気設備技術基準
- 労働安全衛生規則
これらの規格によって、電圧、絶縁性能、許容電流、試験方法などが定められている。
低圧ケーブルの選び方

適切な低圧ケーブルを選ぶためには、以下の要素を考慮する必要がある。
- 定格電圧
使用する電圧がケーブルの定格電圧以下であることを確認する。 - 許容電流
ケーブルに流れる最大電流が、ケーブルの許容電流以下であることを確認する。
許容電流は、導体の断面積(太さ)や絶縁体の種類、周囲温度などによって変わる。
電流値が大きいほど、太いケーブルが必要になる。 - 敷設環境
- 屋内/屋外: 屋外で使用する場合は、紫外線や雨風に強い耐候性の高いケーブルを選ぶ。
- 温度: 高温になる場所では、耐熱性の高いケーブルを選ぶ。
- 耐薬品性・耐油性・耐水性など: 特殊な環境下では、それぞれの特性に優れたケーブルを選ぶ。
- 機械的強度: 衝撃や引っ張りに強いケーブルが必要な場合もある。
- 心数: 単心、2心、3心など、用途に応じて必要な心数を選ぶ。
- 配線距離と電圧降下
配線距離が長い場合、電圧降下が大きくなるため、太いケーブルを選ぶ必要がある場合がある。 - 防火性: 防火性能が求められる場所では、難燃性や耐火性の高いケーブルを選ぶ。
- 環境配慮: エコケーブルの選択も検討する。

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