循環電流とは、主に複数の電源や回路が並列に接続された際に
それらの間に電位差やインピーダンスの不均衡がある場合に発生する
負荷に流れず回路内を循環する電流のこと。
目次
循環電流の発生要因

バッテリーの並列接続
容量や劣化度の異なるバッテリーを並列に接続した場合
各バッテリーの起電力や内部抵抗に差が生じ、その電位差によってバッテリー間で電流が循環する。
これにより、バッテリーのエネルギーが消費され、寿命が短くなる原因となる。
変圧器の並行運転
複数の変圧器を並列に接続して運転する際、巻数比(一次・二次電圧比)がわずかに異なっていたり
インピーダンスが不均一であったりすると、変圧器間で循環電流が流れる。
これは変圧器の効率低下や発熱、損失増加、保護リレーの誤動作などを引き起こす可能性がある。
三相交流回路
三相結線において、第3高調波などの不平衡要素が存在する場合にも循環電流が発生することがある。
環状母線
変電所などで複数の送電線から受け取った電気を集約する環状の母線において
系統の状況によっては母線内を循環する電流が生じることがある。
これが過大になると保護リレーの不要動作を招くことがある。
循環電流の影響

循環電流は、本来負荷に供給されるべきエネルギーを無駄に消費するため
以下のような悪影響を及ぼす。
- エネルギー損失・効率低下
回路内で無駄な電流が流れ続けるため、発熱としてエネルギーが消費され
システム全体の効率が低下する。 - 機器の劣化・寿命短縮
バッテリーや変圧器などの機器に常に電流が流れることで
過熱や負荷がかかり、劣化を早めたり、寿命を縮めたりする原因となる。 - 保護リレーの誤動作
電力系統において循環電流が過大になると、保護リレーが異常と判断し
本来遮断する必要のない回路を遮断してしまう誤動作を引き起こす可能性がある。
循環電流の対策

不平衡の解消
- バッテリー
同じ種類・容量・劣化度のバッテリーを使用し
均等に充電・放電されるように管理することが重要。 - 変圧器
巻数比やインピーダンスが可能な限り一致する変圧器を選定し
適切な負荷分担を行う必要がある。
循環電流の阻止・抑制
- ダイオードの利用
バッテリーの並列接続においては、各バッテリーにダイオードを接続することで
循環電流の発生を抑制する方法がある。
ただし、ダイオードによる電圧降下や損失も考慮する必要がある。
※近年では「理想ダイオード」と呼ばれる低損失な素子を用いた製品もある。 - スイッチによる切り替え
接続する系統をスイッチで切り替えることで
循環電流が流れる経路を物理的に遮断する方法。 - 専用の防止装置
循環電流を検出・抑制するための専用の回路や装置が開発されており
これらを導入することで効果的に循環電流を防止できる。

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