バーチャルパワープラント(VPP)は、分散して存在する様々なエネルギーリソースを
IoT技術で統合・制御し、あたかも一つの大きな発電所(仮想発電所)のように機能させる仕組みのこと
目次
バーチャルパワープラントの仕組み

VPPは、家庭や企業が持つ太陽光発電設備、蓄電池、電気自動車(EV)などの分散型エネルギーリソース(DER)を
アグリゲーターと呼ばれる事業者が遠隔でまとめて管理・制御する。
アグリゲーターは電力が不足しているときには蓄電池から放電したり
余っているときには蓄電池に充電したり、空調などの電力需要を調整したりすることで
電力の需給バランスを保つ。
主な具体例
空調などの需要が多い夏や冬→需要量に対して発電量が足りなくなる。
需要が少ない春や秋→需要量よりも発電量のほうが多くなることもある。
蓄電池やヒートポンプ給湯器などのエネルギーリソースを活用して
電力が足りないときは省エネをしたり、貯めていた電力を放電してもらう。
逆に、電力が余っているときは、余剰電力を吸収・充電してもらう。
バーチャルパワープラントの主な構成要素

VPPは主に以下の要素で構成される。
- 分散型エネルギーリソース(DER)
太陽光発電、風力発電、蓄電池、電気自動車(EV)、給湯器、ヒートポンプ、工場設備など
地域の至る所に存在する小規模な電力設備。 - アグリゲーター
DERを束ねて制御する事業者。需要家と電力会社の間に入り、需給調整市場での取引などを行う。 - IoT・AI
リアルタイムで各設備の状態や発電量、消費量を収集し、需給予測や最適な制御を行うための基盤技術。
バーチャルパワープラントのメリット

- 再生可能エネルギーの有効活用
発電量が不安定な太陽光や風力発電を、蓄電池などで調整することで無駄なく利用し、普及を後押しする。 - 電力システムの安定化
需要ピーク時にDERを制御することで、大規模発電所の稼働を抑え、電力需給のバランスを安定させる。 - 災害時のレジリエンス向上
地域に分散したエネルギー源を活用するため、大規模な停電リスクを減らし
災害に強い電力供給体制を構築できる。 - コスト削減
大規模発電所を新設するよりも低コストで、電力の需給調整が可能。 - 地産地消の実現
地域内で発電した電気を地域内で消費する「エネルギーの地産地消」を実現しやすくなる。
バーチャルパワープラントの課題

- 導入コスト
アグリゲーターが設備を設置・運用するための初期費用や工事費が高額になる場合がある。 - 制度・ルールの整備
VPPを円滑に運用するための市場や制度がまだ十分に整っていない部分がある。 - 経済的格差
VPPに参加できる設備を持つ需要家とそうでない需要家との間で
経済的なメリットに差が生まれる可能性が指摘されていr.

コメント