デジタル測定器の確度(精度)を示す際によく使われる「rdg」と「dgt」は
それぞれ誤差の発生源とその性質が異なる。
仕様書を見ると、測定確度が測定レンジごとに決まっている。
デジタル表示の測定器なら、測定誤差の表記として
rdg. 誤差(リーディング誤差、読み値の誤差)と
dgt. 誤差(ディジット誤差)の 2 種類の誤差の足し算となっている。
rdgとdgtの違い
| 特徴 | rdg (reading) 読み値誤差 | dgt (digit) 桁誤差 |
| 略語 | reading (読み取り値、表示値) | digit (数字、桁) |
| 誤差の性質 | 測定値の大きさに比例して変化する誤差 | 測定値によらず、一定の値で発生する誤差 |
| 発生源 | A/D変換の特性、基準電圧の精度など、アナログ回路系や比例回路系の誤差 | デジタル回路系のノイズ、A/D変換の分解能、最小表示桁の丸め誤差など |
| 単位 | 測定値に対するパーセント(%) で表記されることが多い | 最小表示桁のカウント数で表記される(例:±5gdt) |
rdg(reading – 読み値誤差)

rdgは「reading」(読み値、表示値)の略で
現在の測定値(表示値)の大きさに比例して発生する誤差を示す。
- 特徴
測定値が大きくなると、この項による誤差の絶対値も大きくなる。 - 計算方法

dgt(digit – 桁誤差)

dgtは「digit」(数字、桁)の略で
測定値の大きさに関係なく、最小表示桁(分解能)を単位として発生する一定の誤差を示す。
- 特徴
測定器の最小桁における変動や不確かさ、あるいはA/D変換の量子化誤差が主な要因。 - 計算方法

具体的な計算例①

確度が

のデジタル電圧計で、100.00Vを測定した場合、この測定器の最小表示桁は 0.01V となる。
rdgによる誤差(測定値に比例する誤差)

dgtによる誤差(最小桁の一定誤差

合計誤差

したがって、真の値は 100.00Vの測定値に対して
99.47V から 100.53V の範囲内にあると保証される。
rdgは測定値全体のスケールに対する誤差を、dgtは最小桁に依存する誤差を表しており
特に小さい測定値(100.00V がレンジの最大値に近い場合)ではrdgの比重が高くなり
非常に小さい測定値(1.00Vなど)ではdgtの比重が高くなる傾向がある。
具体的な計算例②
rdg. 誤差の単位は%で表され、測定器に表示された測定値に rdg. 誤差 を掛け算した数字が誤差になる。
測定値が大きくなれば、rdg. 誤差は大きくなる。
dgt. 誤差の単位は dgt. で表され、測定レンジの最小桁に対する誤差になる。
測定値の大きさに対して変化しない。
<誤差の計算例>
100.0Aレンジの誤差が
±1%rdg.+ 5dgt.
という測定器で、50.0A を測定したとする。
rdg. 誤差は、
50.0[A] × 1[%] = 0.5 [A]
dgt. 誤差は、最小桁が 0.1Aなので、
0.1 [A]× 5 [dgt.]= 0.5[A]
よって、誤差は、
0.5[A]+ 0.5[A= ±1.0 [A]
となる。
50.0A ±1.0A
新電気 2020.3月号「特集 クランプ電流計を使いこなせ」より一部引用

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