「逆流雷(ぎゃくりゅうらい)」は、通常の落雷とは反対に
「地面(アース)から建物内に電気が流れ込んでくる」現象のこと。
通常の雷対策(避雷針など)だけでは防げないことが多く
現代のデジタル機器にとって大きな脅威となっている。
目次
逆流雷が発生する仕組み

図:雷の主な種類
上図の③のように、接地極の近くにある建物の避雷針や樹木などに落雷すると
雷の電流が接地に流入し建物の電位が上昇する。
高圧引込線や信号線などとの間に電位差が生じ、雷電流が電源側に逆流する。
これを「逆流雷」という。
電位差により発生するため主な対策として
接地抵抗値を極力小さくするなどの対策が取られる。
逆流雷発生のプロセス
- 落雷による地電位の上昇
建物やその付近(木や隣のビル)に雷が落ちると、膨大な電流が地面に流れ込む。 - 電位差の発生
地面には電気の抵抗があるため
落雷地点に近い場所の電圧(電位)が一時的に数万ボルトまで跳ね上がる。 - アースからの侵入
機器を保護するために接続しているはずのアース線(接地線)を伝って
逆に建物内の機器へと高電圧が流れ込んでくる。
主な被害例

逆流雷は、電源コンセントだけでなく
通信線を介して被害を広げる特徴がある。
- 精密機器の全損
PC、サーバー、録画機などの基板がアース側から焼損する。 - 通信インフラの破壊
ルーター、ONU、電話交換機などが
電話線やLANケーブルを介して破壊される。 - 火災報知器・エレベーターの故障
建物全体の共用設備に一斉に被害が出ることがあり
修理費が数千万単位になる事例もある。
効果的な対策:等電位化(ボンディング)

建物内のすべての電気的ルートの電圧を「同じ高さ」に揃えることで、電流が流れないようにする。
| 対策方法 | 内容 |
| SPD(サージ防護デバイス) | 電源線、電話線、アンテナ線すべてに設置し、異常な電圧をバイパスさせる。 |
| 統合接地(共通接地) | 避雷用、電源用、通信用のアースをバラバラにせず 1つに連結して電位差をなくす。 |
| 絶縁対策 | 通信経路を光ファイバー化するなど、電気的な接続を物理的に断ち切る。 |
| 接地間SPD | アース同士を直接つなげない場合、雷の時だけ自動でつなぐ専用のSPDを使用する。 |
主な対策方法(自己防衛)

専門的な工事以外でも、以下の対策でリスクを下げられる可能性がある。
- 「雷ガード」付きタップの活用
ただし、アース端子付きのものは「逆流雷」には弱いため
電源・通信の両方をガードできるタイプを選ぶ必要がある。 - 物理的な遮断
雷が近づいたら、コンセントだけでなく
LANケーブルやアンテナ線も抜くのが最も確実な方法。
参考資料
新電気2020年 6月号「現場の電気保安実務 第171回 高圧受電設備における雷事故と対策」より一部引用

コメント