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高圧受電設備におけるもらい事故についての備忘録

高圧受電設備における「もらい事故(波及事故とは別物)」とは
自設備には何の故障も起きていないのに、近隣の需要家や電力会社の配電線で発生した地絡事故に反応して
自設備のメイン遮断器(PASや主遮断器)が遮断し、不必要に停電してしまう現象のことを指す。

目次

もらい事故のメカニズム

高圧系統で他所(外部)が地絡した場合、自設備の電路にも影響が及ぶ。

外部地絡と零相電流の関係

近隣で地絡が発生すると
対地静電容量を通じて自設備内にも零相電流(Io)が流れる。

  1. 外部で地絡発生
    配電線全体の対地電圧のバランスが崩れると零相電圧(Vo)が発生する。
  2. 充電電流の流入
    自設備内の高圧ケーブルなどの対地静電容量を介して
    大地から自設備へと「充電電流」が流れ込む。
  3. ZCTが検知
    この電流がZCT(零相変流器)を通過すると
    リレーは「漏電が起きている」と判断してしまう。

方向性の有無によるもらい事故の違い

GR(地絡継電器)の場合

電流の「大きさ」だけで判断するため、外から流れ込んできた電流でも
一定以上の大きさ(感度以上)であれば動作してしまう。
→もらい事故」の直接的な原因。

DGR(地絡方向継電器)の場合

電流の「向き」と「電圧との位相」をセットで判断する。
「中から外へ流れる電流」か「外から中へ流れる電流」かを判別できるため
構外からの電流では動作せず、もらい事故を防ぐ。

2点接地がもらい事故を引き起こす理由

「2点接地(多点接地)」は
このもらい事故のリスクを大幅に高める。

接地ループによる迷走電流

図:両端接地時の地絡電流の流れ(PAS接地時)

本来、高圧ケーブルの遮蔽層(シールド)は1点で接地すべきだが
これを2点接地(電源側と負荷側の両方)にしていると
大地とシールド線で「輪(ループ)」ができてしまう。

両端接地時による継電器誤動作の流れ

  1. 分流の発生
    外部で事故が起きた際、本来は大地を流れるべき事故電流の一部が
    抵抗の少ないシールド線(ループ回路)を通って自設備内を通過する。
  2. ZCTの誤検知
    このループを流れる電流がZCTを通過する際、計算上の打ち消しがうまくいかず
    リレーが「内部事故」と誤認して遮断器をトリップさせる。

ZCTを貫通する配線(ケーブル)のシールド接地線を
再びZCTの中に通し戻す処理を忘れたり、2点接地したりしていると
誤動作が発生する可能性が高い。

もらい事故を防ぐための対策表

対策項目内容
DGRの採用非方向性のGRではなく、位相を監視できる地絡方向継電器(DGR)を設置する。
適切な接地管理高圧ケーブルのシールド接地を1点接地に徹底し、不要なループを作らない。
ZCTの貫通処理接地線をZCT内に「通し戻す」処理を正しく行い、回路内の電流バランスを保つ。
整定値の最適化設備内の静電容量を計算し、もらい事故を起こさない適切な感度(mA)と時間(秒)を設定する。

参考資料

新電気2019年7月号 「現場のギモン? 解決塾 第7回 もらい事故ってなに?」より一部引用

新電気2019年10月号 「実務理論シリーズ 第2回CVケーブル遮へい層の 接地方式とその取扱い両端接地方式および片端接地・片端ループ方式 編」より画像引用

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