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太陽光発電設備(PVS)の検電と対地電圧の基礎知識まとめ

太陽と太陽光パネルのイラスト
目次

検電器の主な役割

電気は目に見えないため、作業前に「電気が止まっているか(停電しているか)」を
確認しないと感電事故につながる。
検電器は、音や光で電圧の有無を知らせ、作業者の安全を守る「命綱」のような道具となる。

検電器の種類の主な種類

検電器は、扱う電圧の高さによって使い分ける必要がある。

種類特徴該当するモデル
低圧用家庭用コンセントや工場の低圧回路(一般的にAC600V以下)で使用する。HTE-610
高低圧用低圧から高圧(例:6.6kVの配電線など)まで幅広く対応する。HSN-6A型
AC/DC両用交流(AC)だけでなく、直流(DC)の検電も可能。HSN-6A型

伸縮タイプ(HSN-6A型など)のメリット

高圧電線を検電する際、対象物に近づきすぎると危険。
そのため、HSN-6A型のような伸縮タイプは
持ち手を伸ばして十分な離隔距離を保ちながら安全に作業できるよう設計されている。

使用上の重要な注意点

使用前点検

外観にひび割れや破損がないか確認する。
「既知の電源(活電部)」に当てて、正しく音と光が出るか動作確認する。
※電池切れで反応しないのが一番危険。

正しい持ち方

特に高圧用の場合、握る位置(グリップ)が決まっている。
指示された位置より先を握ると感電の恐れがある。

検電の実施

対象の全相(3相なら3本とも)を確認すること。

太陽光発電設備における対地電圧の基礎知識

太陽光発電所のイラスト

太陽光発電設備(PVS)の保守・点検業務において、検電作業は感電事故を防ぐための重要なプロセスとなり
PVSで検電を行う際、注意すべきなのは「直流電路の対地電圧が常に一定ではない」ということに
注意する必要がある。
対地電圧は、パワーコンディショナ(パワコン)の種類(絶縁タイプか非絶縁タイプか)や
運転状態(運転中か停止中か)によって大きく変化する。

特に注意が必要なのが、直流電路が非接地回路になったときであり
この状態では対地電圧が安定せず、検電器を当てても動作が不安定になる現象が発生する。

検電器の動作が不安定になる理由

太陽光発電設備(非絶縁形パワコン)の回路図
太陽光発電設備(非絶縁形パワコン)の回路図

左図:パワコン運転時の対地電圧 右図:パワコン停止時の対地電圧

非接地の電路であっても、電路と大地は完全に絶縁されているわけではなく
絶縁抵抗と対地静電容量を通じて繋がっている。
ここに検電器を当てた際の挙動は以下のようになる。

  • 内部抵抗の影響
    検電器を接続すると、検電器の内部抵抗が電路の絶縁抵抗に対して並列に接続されることになる。
    これにより、合成抵抗値が低下し、分圧比が変化するため、測定している側の対地電圧が低下してしまう。
  • 絶縁抵抗値による違い
    この電圧低下は、電路の絶縁状態が良い(絶縁抵抗値が大きい)ほど顕著になり
    対地電圧が検電器の動作開始電圧以下まで低下してしまうと
    実際には電圧がかかっていても充電表示がされなくなる。
  • 静電容量による時間差
    PVSでは対地静電容量もある程度大きいため
    電圧は特定の時定数(RC)に従って徐々に低下する。
    その結果、「検電器を当てた直後は数秒間鳴動し
    その後鳴らなくなる(不動作になる)」という現象が起こる。

実務におけるポイントと注意点

カレンダーのイラスト

天候や接続状態による動作の変化

検電器の動作は、その日の環境条件によっても変化する。

  • 乾燥時
    絶縁抵抗が高いため、検電器を当てた際の電圧低下が大きく
    数秒動作した後に不動作になりやすい傾向がある。
  • 雨上がり
    絶縁抵抗が低下しているため、電圧低下が少なく、検電器が動作を継続しやすくなる。

また、接続されているストリングの数によっても
全体の絶縁抵抗と対地静電容量が変わるため、状況に応じた慎重な判断が求められる。

パワコンの接地方式による違い

エアコンの室内機のイラスト

実務では、パワコンの仕様も確認する必要がある。

  • 絶縁タイプ
    直流電路の接地方式によって対地電圧が変化する。
    適切に接地されていれば対地電圧も検電器の動作も安定するが、非接地の場合は不安定になる。
  • 非絶縁タイプ(トランスレス)
    現在主流となっている非絶縁タイプのパワコンでは、交流側の接地が直流側に影響を与えるため
    運転中は片線接地のような状態になり対地電圧が安定することが多い。
    しかし、パワコン停止時や断路器開放時には非接地状態となるため、注意が必要となる。

充電の有無を確実に確認する方法

PVSの直流電路(特に非接地状態)では
検電器による対地電圧の検出だけでは「充電の有無」を誤認する危険性がある。
「鳴らないから安全」と判断して触れると、重大な感電事故に繋がる恐れがある。

PVSの直流電路における「充電の有・無」を正確に判別するためには
線間電圧を測定することが必要不可欠となる。

線間電圧を測定する理由

  • 線間電圧は安定している
    検電器や電圧計を接続して対地電圧が変動・低下しても、線間電圧(P-N間など)は変化しない。
  • 電圧計(デジタルマルチメータ等)の使用
    日射量によっても電圧は変化するため
    線間電圧を正確に測定できる電圧計を使用するのが最も適している。

参考資料

新電気2020年10月号「特設 太陽光発電システムに おける検電の注意点」より一部引用

https://www.hasegawa-elec.co.jp/hasegawa/wp-content/uploads/2024/06/pdf_goods_12.pdf
長谷川電機工業株式会社
「太陽光発電システム(PVS)における1.検電の注意点2.金属筐体部の安全確認方法について」
より一部引用

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この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

2. 経歴・実務経験
電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

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