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単独運転についての基礎知識まとめ

目次

単独運転(Islanding Operation)についての概略

単独運転とは、電力会社の系統(送電網)が事故や作業などで停電し
電力供給が停止したにもかかわらず
その系統に連系している分散型電源(太陽光発電、コージェネレーション、蓄電池など)が
切り離されずに単独で、一部の需要家や配電線に対して電力を供給し続けてしまう状態
のこと。

通常、電力系統は大規模な発電所から需要家へ一方向に電力が供給され
事故時には自動的に系統から切り離されるように保護装置が設計されている。
しかし、分散型電源が増えたことで、この「単独運転」という新たなリスクが発生した。

単独運転が危険な理由

単独運転は、以下のような重大な危険や問題を引き起こす可能性があるため
厳しく禁止され、防止対策が義務付けられている。

感電事故の危険

  • 停電が発生し、電力会社の配電線が「死んでいる(無電圧)」と電力会社の作業員が判断して
    復旧作業を行った場合、単独運転している分散型電源から電力が逆流
    配電線が「生きている(電圧がかかっている)」状態になる。
    この状態で作業員が電線に触れると、感電死する可能性があり、非常に危険。

    ※一般の人が停電中に電気設備に触れた場合も同様に危険です。

電力系統の混乱と復旧の妨げ

  • 停電復旧作業は、電力会社が電路の健全性を確認し、系統全体を安全に再構築していく手順で行われる。
    単独運転している分散型電源があると、電力会社の制御から外れた形で電力が供給され続けるため
    系統の電圧や周波数が不安定になり、正常な復旧作業を妨げる。
    最悪の場合、復旧時の再閉路(ブレーカーの再投入)時に大きな突入電流が発生し
    新たな事故や設備の損傷を引き起こす可能性がある。

機器の損傷

  • 単独運転中の分散型電源は、電力会社の系統からの安定した電圧や周波数の基準を失うため
    自家供給される電力の品質が不安定になることがある。
    これにより、接続されている需要家の電気機器が損傷したり、誤動作したりする可能性がある。

単独運転の検知と防止

単独運転を防止するためには、分散型電源の連系点に
単独運転検出機能」を持つ保護装置の設置が義務付けられている。
これは、主にパワーコンディショナー(PCS)に内蔵されている機能。

単独運転を検出する方法には、大きく分けて「受動的方式」と「能動的方式」がある。

受動的方式(Passive Method)

  • 系統側の変化を監視
    系統の電圧や周波数、位相などの変化を常時監視し、異常を検知することで単独運転を判断する方法。
  • 主な検出要素
    • 電圧低下(UV)または電圧上昇(OV): 系統が切り離されると
      分散型電源の発電量と需要家の負荷バランスが崩れ、電圧が変動する。
    • 周波数低下(UF)または周波数上昇(OF): 電圧と同様に、周波数も変動する。
    • ベクトルシフト: 系統事故などで電圧の位相が急激に変化するのを検出する。

メリット: 系統に影響を与えない。

デメリット:不感帯(Non-Detection Zone: NDZ)の問題: 分散型電源の発電量と需要家の消費電力量がたまたまほぼ一致している場合、系統が切り離されても電圧や周波数の変化が小さく、単独運転を検出できない「不感帯」が存在する可能性があります。これが受動的方式の最大の弱点です。

検出に時間がかかる場合がある。

能動的方式(Active Method)

  • 分散型電源側から系統に「揺さぶり」をかける
    意図的に系統に小さな乱れ(変動)を加え、その応答を見ることで、系統が繋がっているか
    (電力会社からの供給があるか)どうかを判断する方法。系統が繋がっていれば
    その乱れは広大な系統に吸収されてほとんど影響しないが、単独運転状態であれば、その乱れが大きく現れる。
  • 主な検出方法
    • 周波数シフト方式: パワーコンディショナーが、ごくわずかに周波数を変えて
      (例:商用周波数から少しずらして)電流を注入し、電圧や周波数の応答を見る。
    • 無効電力変動注入方式: 無効電力をわずかに変化させて、電圧の変化を見る。
    • ステップ電圧変化検出方式: パワーコンディショナーの制御で電圧をわずかに変化させ、その応答を見る。

メリット: 不感帯が非常に小さい、または存在しないため、確実に単独運転を検出できる。

デメリット: 系統に微細な乱れを与える(電力品質に影響はほぼないレベルだ)

現在、多くのパワーコンディショナーには、受動的方式と能動的方式を組み合わせた単独運転検出機能が標準で搭載されており、不感帯を極力なくして確実に単独運転を防止できるように設計されています。

単独運転防止機能が動作した後の挙動

単独運転が検出されると、パワーコンディショナー(PCS)は速やかに
通常は数秒以内に、発電を停止し、系統との連系を遮断(解列)する。
これにより、需要家や作業員の安全が確保される。

電力会社の系統が復旧し、電圧や周波数が安定したことを確認すると
PCSは自動的に連系を再開し、発電を再開する。

https://www.meidensha.co.jp/products/energy/prod_05/prod_05_01/prod_05_01_01_01/prod_05_01_07_01
明電社
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自立運転機能付き自家消費型大規模太陽光発電システムより画像引用

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