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電流が人体に与える生理反応についての備忘録

電流が人体に与える生理反応は
電流の大きさ、種類(交流か直流か)、周波数、通電時間、通電経路
そして個人の体の状態(抵抗値、性別、年齢など)によって大きく異なる。

目次

電流の大きさによる生理反応

その他の重要な要因と生理反応

電流の種類(交流 vs. 直流)と周波数

  1. 交流(AC)
    一般的に、商用交流(50~60Hz)は人体にとって最も危険な帯域とされている。
    この周波数帯では、わずかな電流でも心室細動を引き起こすリスクが高まる。
  2. 直流(DC)
    直流電流に対する生理反応は交流に比べて鈍く、交流の5倍程度の電流が許容されるとされている。
    ただし、高い直流電流は筋肉の強い収縮や火傷を引き起こす可能性がある。
  3. 高周波交流
    周波数が高くなると電流の閾値は上昇し、たとえば10kHzでは
    50~60Hzの5~10倍の電流が許容されるとされている。

通電時間

電流の大きさと通電時間の積が大きいほど、人体への影響は大きくなる。
例えば、50mAの電流でも通電時間が短ければ心室細動のリスクは低減されるが
長時間流れ続ければ非常に危険となる。

通電経路

電流が人体を流れる経路は、その影響を大きく左右する。
特に心臓を横切る経路(例:右手から左手、あるいは手から足への経路)は
心室細動や心停止のリスクが著しく高まる。
脳の呼吸中枢を通る経路も呼吸停止を引き起こす可能性がある。

    人体の抵抗

    人体には電気抵抗があり、電流の流れにくさを決定する。
    皮膚の抵抗は大きく、乾燥している状態では高くなるが
    汗をかいていたり、水に濡れていたりすると抵抗が著しく低下し、より大きな電流が流れやすくなる。
    ※人体の内部抵抗は一般的に500Ω程度とされている。
    通電経路の断面積や各部位の組織の導電率も、体内電流の集中に影響を与える。
    特に肺や心臓など導電率の高い部位に電流が集中しやすいことが分かっている。

      感電による具体的な症状

      • 筋肉の痙攣・収縮
        電流が神経や筋肉を刺激することで、不随意な筋肉の収縮が起こる。
        これにより、電線を握りしめて離せなくなったり、激しいけいれんを引き起こしたりする。
      • 痛み・不快感
        電流による神経刺激が痛みとして感じられる。
      • 呼吸困難・呼吸停止
        胸部の筋肉が収縮したり、脳の呼吸中枢が影響を受けたりすることで
        呼吸が困難になったり停止したりすることがある。
      • 心室細動・心停止
        最も危険な影響であり、心臓が細かく震えて血液を全身に送り出せなくなる状態(心室細動)や
        心臓の鼓動が完全に停止する状態(心停止)を引き起こす。
        ※これが数分続くと死に至る。
      • 熱傷(やけど)
        電流が体を流れる際の電気抵抗や高電圧によるスパークによって熱が発生し
        皮膚表面だけでなく内部組織にも熱傷を引き起こすことがある。
        高圧電流では、体内で深い熱傷が発生し、組織の壊死や四肢切断に至ることもある。
      • 神経障害
        脳、脊髄、末梢神経が損傷を受け、けいれん発作、意識消失、記憶障害
        人格の変化、睡眠障害、筋力低下、麻痺、しびれ、慢性的な痛みなどが生じることがある。
      • 腎障害
        筋肉の破壊(横紋筋融解症)により、血液中に有害物質が放出され、急性腎不全のリスクが高まる。
      • その他
        脱臼、骨折、内臓損傷、出血などが二次的に発生することもある
        (例:強い筋収縮による転落)。
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