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逆V結線変圧器についての備忘録

目次

逆V結線変圧器とは

逆V結線変圧器は、三相電源から単相負荷を取り出すための結線方式の一つ。
通常のトランス(変圧器)とは異なり、主に単相負荷を供給する際に使用される。
スコット結線変圧器と似ているが、異なる特徴を持つ。

単相負荷が1回路で分割できない場合は、上記図のような逆V結線が使われる場合がある。

逆V結線変圧器は、単相変圧器を使用する場合に比べて三相側の電流は平均化されるが
スコット結線変圧器のように完全平衡にはならない。
三相側の電流の1相(V相)は他の2相(U相、W相)の2倍流れ、不平衡率は100%になる

逆V結線変圧器の主な特徴と用途

三相から単相への変換

三相電源(U相、V相、W相)から単相の電力を取り出す際に用いられる。

単相負荷が1回路で分割できない場合

例えば、大容量の単相負荷を供給したいが
それを複数の小さな負荷に分割できない場合に有効な選択肢
となる。

変圧器の構成

基本的には単相変圧器を2台使用して構成される。

逆V結線変圧器電流の不平衡性

逆V結線変圧器の最も重要な特徴の一つは、一次側の電流に不平衡が生じること

  • V相の電流
    三相側の電流(一次側)において、V相に流れる電流は他の2相(U相、W相)の約2倍になる。
  • 不平衡率
    その結果、不平衡率は100%となり、三相電源の平衡が崩れる。
    これはスコット結線変圧器が一次側を比較的平衡に保つことができる点と大きく異なる。

スコット結線変圧器との比較

  • スコット結線変圧器
    主に三相から二相への変換や、三相から単相負荷を平衡して取り出す場合に用いられ
    一次側の三相電流の平衡を保つことができる。
  • 逆V結線変圧器
    スコット結線のように完全な平衡は得られないが
    単相変圧器を2台使用するデルタ-デルタ(Δ-Δ)結線のうち
    1台の変圧器が故障した場合に残り2台で運転を継続する「V結線」に似た考え方で
    単相負荷供給に特化した結線と言える。

逆V結線変圧器の注意点

  • 電源容量と配線材の選定
    V相に大きな電流が流れるため、電源容量の選定や配線材の太さに注意が必要。
    適切な設計をしないと、過熱や電圧降下の問題が発生する可能性がある。
  • 用途の限定
    三相側の不平衡が大きいため、すべての用途に適しているわけではない。
    特に三相電源の品質が厳しく求められるシステムでは、他の結線方式が検討されることがある。

スコット結線変圧器(三相から単相 2回路をとる方法)のように
三相側は完全平衡とならないため非常用発電機には使用できない。

メリット(単相変圧器単独と比較して)

単相変圧器1台で三相から単相負荷を取る場合と比較すると
逆V結線の方が一次側の電流分布が平均化される。
これにより、特定の相に過大な電流が集中するのをある程度緩和することができる。

まとめると、逆V結線変圧器は三相電源から大容量の単相負荷を取り出す際の一つの選択肢となりうる。
その利用には一次側の電流不平衡という特性を理解し、適切な設計と対策が不可欠となる。

参考資料

https://www.daihen.co.jp/products/electric/faq/how/q09.html
㈱ダイヘン 電力機器Q&A 使い方・構造より画像引用

https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/16111?site_domain=default
㈱三菱電機 よくあるご質問(FAQ)>製品について>高圧配電制御機器>配電用変圧器
逆V結線変圧器 より画像引用

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