接地抵抗測定についての概略

接地抵抗測定は、電気設備の安全を確保するために非常に重要な点検項目の1つ。
接地(アース)は、感電事故の防止、雷サージやノイズ対策、機器の安定稼働などに不可欠であり
その接地線が大地と適切に接続されているか(電気的に低い抵抗値で接続されているか)を
確認するのが接地抵抗測定。
接地抵抗測定の目的

- 感電防止
漏電や機器の故障時に、大地へ電流を安全に流し、人体への感電を防止する。
接地抵抗値が低いほど、安全性が高まる。 - 機器の保護
雷サージや過電圧から機器を保護し、誤動作や破損を防ぐ。 - ノイズ対策
電気機器の発生するノイズを大地に逃がし、誤動作や通信障害を抑制する。 - 電位の安定化
機器や設備の電位を大地電位に近づけ、安定した動作を確保する。 - 法規・規格への適合
電気設備に関する技術基準や内線規程などにより
特定の接地工事や接地抵抗値が義務付けられている。
接地抵抗試験の原理

上記図において、接地極Eおよび電流用補助接地極Cに交流電圧eを加えて試験電流Iを流す。
電圧用補助接地極Pの位置をEからCの方向へ徐々に移動させて
E-P間の電圧を測定すると、接地極Eの規模が小さく、E-C間の距離が10m以上である場合
下記図のような電圧分布が得られる。

Pの位置を移動させて、電位が一定になる所を大地の基準点とし
その基準点と接地極Eとの電位差exを試験電流iで除した値
R=ex/i
を接地極Eの接地抵抗という。
E-C間の距離が近いと電位分布の水平部分がなくなり基準点がとれなくなるので注意すること。
接地抵抗測定が正しく測定できているかの確認する方法

左図:E と C が十分に離れている(正しい測定ができるケース)
右図 :E と C の抵抗区域が重なっている(誤った測定となるケース)
正しく測定できている場合、E と 補助極C が十分に離れている場合は両方の抵抗区域は重ならず
電位分布曲線の中央が水平になっている。
この水平部に 補助極P を打ち込んでいれば、接地抵抗を正しく測定が可能となる。
正しく測定できているか確認するには上記左図のように、P を P1∼P5 のように移動させて測定してみる。
E−Pn 間の電位差はほとんど変わらないので、接地抵抗値もほぼ同じになる。
→P を移動させて接地抵抗を測り、ほぼ同じ値になることを確認すればよい。
一方、上記右のように、E と C の抵抗区域が重なっている場合は
P を移動させて接地抵抗値を測ると、異なった値が得られる。
→接地抵抗値を正しく測れていないと判断できる。
その他注意事項
●補助電極を接地電極および導電性のある埋設物の上に設置してはいけない
●測定用補助電極の接地抵抗も低くなるように注意する
●補助電極はできるだけ構造物から離して設置すること
参考資料
新電気 2019年8月号 特集THE 接地 より一部引用

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