相間短絡とは、主に三相交流回路において本来絶縁されているべき
異なる相(R相、S相、T相など)の電線同士が電気的に接続されるべきでない箇所で接触し、電流が流れてしまう
現象のこと。
一般的に「ショート」とも呼ばれる短絡事故の一種。
目次
相間短絡の特徴と影響

短絡が発生すると、電気は負荷(電化製品など)を経由せず
抵抗値が非常に低い短絡箇所を通って流れるため、以下の現象が起こる。
大電流(短絡電流)の発生
オームの法則(I = V / R)に基づき、抵抗Rが非常に小さくなるため
定格をはるかに超える数千Aから数万Aもの大電流が瞬間的に流れる。
発熱・アーク放電
●大電流により、接触点では大きなジュール熱(P = I2R)が発生し
電線の溶断や絶縁被覆の燃焼を引き起こす。
●接触が不完全な場合や、高電圧下では、激しいアーク放電(火花)が発生し
火災や機器の損傷、作業者の火傷の原因となる。
電圧の低下と波及事故
短絡が発生した地点より電源側では電圧が急激に低下し、系統全体に影響を及ぼす。
これが他の健全な需要家の停電を引き起こす波及事故の原因となる。
保護装置の動作
大電流を検知し、回路を遮断(トリップ)するために
変電所や受電設備(キュービクル)の遮断器や保護リレーが動作する。
相間短絡の主な発生原因

相間短絡事故防止と対策

相間短絡事故を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えるためには
以下の対策が重要となる。
- 定期的な点検と更新
ケーブルやPAS(気中負荷開閉器)、LBS(高圧交流負荷開閉器)などの高圧機器の絶縁状態を定期的に点検し
推奨される更新時期(例えば15年〜20年程度)を目安に計画的に設備を更新する。 - 小動物対策
キュービクルなどの電気設備の基礎部やケーブル引き込み部の隙間を完全に塞ぎ
小動物の侵入経路を断つ。 - 防水・防湿対策
湿気の多い場所では防水対策を徹底し
機器内部に水が浸入しないよう点検・整備する。 - 適切な保護装置の設置
短絡事故が発生した際に
瞬時に大電流を検知し回路を遮断する遮断器(CB)やヒューズが正しく動作することを確認する。
特に高圧受電設備では、外部への波及を防ぐためのPAS(負荷開閉器に短絡保護機能が付いたもの)などの設置が重要となる。

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