「引き出し形遮断器」は
特に高圧受変電設備や工場の配電盤などで広く採用されている遮断器の設置方式のこと。
大きな特徴は、遮断器本体がレールの上に乗っており
主回路の配線を外すことなく、本体を盤の外へ引き出せる点にある。
引き出し形遮断器の基本構造
通常の「固定形」がボルトなどで直接電線やバスバー(導体)に接続されるのに対し
引き出し形は以下の2つのパーツで構成される。
- 本体(移動部)
実際に電流を遮断する装置。背面に「主回路接触子(フィンガー)」を持っている。 - 枠・クレードル(固定部)
盤側に固定される枠。本体の接触子を受け止める「受刃」がある。
真空遮断器の構造

引出形遮断器の付属品

引き出し形遮断器の4つの主要な位置
引き出し形遮断器には、引き出し具合によって通常4つの状態(位置)がある。
これらを切り替えることで安全に作業が行うことができる。
| 位置 | 状態の説明 | 主回路(電気) | 制御回路(信号) |
| 運転位置 | 完全に奥まで挿入された状態。通常稼働時。 | 接続 | 接続 |
| 試験位置 | 少し引き出した状態。主回路は離れているが、制御用電源は繋がっている。動作確認用。 | 断路 | 接続 |
| 断路位置 | さらに引き出し、すべての回路が離れた状態。 | 断路 | 断路 |
| 取出位置 | 盤の外へ完全に脱出させた状態。点検や交換時。 | 断路 | 断路 |


上左図:引き出し操作ハンドルを使った遮断器の引き出し方法
上右図:手動投入ハンドル挿入口と投入操作方法
引き出し形遮断器のメリット

① メンテナンスの容易性と短時間復旧
万が一遮断器が故障しても、予備の本体があれば数分で入れ替えが可能。
固定形のように配線作業をやり直す必要がないため、停電時間を最小限に抑えることができる。
② 安全性の向上(インターロック機能)
「遮断器をONにしたまま引き出す」といった誤操作を防ぐ機械的なインターロックが備わっている。
また、本体を引き出すと盤内の充電部(電気が来ている部分)に
自動で目隠し板(シャッター)が降りる仕組みもあり、感電事故を防げる。
③ 試験・点検が容易
「試験位置」にすることで、実際に負荷側に電気を流すことなく
遮断器の開閉動作や保護継電器との連動テストが行う事が可能。
引き出し形遮断のデメリットと注意点

コストが高い
固定形に比べて構造が複雑なため
製品価格や盤の製作コストが上がる。
設置スペース
引き出すためのスペース(メンテナンススペース)を
盤の前面に確保する必要がある。
接触抵抗
抜き差しする接触部があるため
長期間の使用による接触不良(過熱)に注意が必要。
定期的なグリスアップや点検が定期的に行うこと。
参考資料
新電気2020年 9月号「理論と実務を結ぶ電気の Q&AQuestion 50非常用発電機 その3」より一部引用

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