電力変換機とは、電気の性質(電圧、電流、周波数、電力形式)を変換する装置の総称。
主に半導体素子(スイッチング素子)を用いて電気を高速にオンオフすることで
効率良く、かつ高精度に電力を制御する。
電力変換器の種類と仕組み

電力変換器とは直流と交流を変換したり、交流の周波数を変えたり、直流の電圧を変えたりと
電圧や電流を変換する機器で、大きく4つに分類できる。
AC-DCコンバータ(整流器)

交流(AC)を直流(DC)に変換する機器。
交流電力を直流電力に変換するもので
「順変換装置(コンバータ)」または「整流装置」と呼ばれている。
仕組み
ダイオードなどの半導体素子を使って交流の波形を一方向に流れるように「整流」し
コンデンサで波の凸凹をならして滑らかな直流に変換する。
主な使用用途
電気鉄道
電気めっき用の大容量直流電源
スマートフォンの充電器
DC-ACインバータ

直流(DC)を交流(AC)に変換する機器。
直流電力を交流電力に変換することを「逆変換」と呼び
これを行う装置を「インバータ」という。
仕組み
スイッチング素子を高速にオンオフし、直流電圧をパルス状に変換する。
このパルスの幅を調整するPWM (Pulse Width Modulation)制御によって
交流の正弦波に近い波形を作り出す。
主な用途
無停電電源装置(UPS)
太陽光発電
エアコン
DC-DCコンバータ

直流(DC)電圧を別の直流電圧に変換(昇圧・降圧)する機器。
ある直流電源から異なる電圧の直流に変換するもの。
直流からスイッチングにより直接直流を得るものは「DCチョッパ」と呼ばれる。
仕組み
スイッチング素子とコイルやコンデンサを組み合わせて
電気を蓄えたり放出したりすることで電圧を変換する。
主な用途
直流電動機の制御
バッテリー駆動の電子機器
電気自動車
AC-ACコンバータ

交流(AC)電圧を、同じまたは異なる電圧・周波数の交流に変換する機器。
ある交流電源から異なる電圧、周波数の交流に変換するもの。
電圧のみを変換するものを交流電圧調整器、電圧と周波数の両方を変換するものを
「サイクロコンバータ」という
※「マトリクスコンバータ」もある。
仕組み(内容)
- サイクロコンバータ
入力された交流を直接、異なる周波数の交流に変換する。 - マトリックスコンバータ
スイッチング素子を多数用いて、入力と出力を自由に接続することで、効率よく変換する。
主な用途
大容量交流電動機の可変速駆動用
電車や産業用モーターの速度制御
電力変換器の役割と応用例

- エネルギー効率の向上
モーターの回転数などを必要に応じて制御することで、無駄な電力消費を削減する。
エアコンや鉄道のインバータ制御が代表例。 - 再生可能エネルギーの有効活用
太陽光発電や風力発電で得られる直流電力を
家庭や電力系統で使用できる交流電力に変換する。 - 機器の安定動作と長寿命化
機器に最適な電圧や電流を供給することで
安定した動作を確保し、故障のリスクを減らす。 - 電力系統の安定化
高圧直流送電(HVDC)などで、異なる周波数を持つ電力系統間を接続し
安定した電力融通を可能にする。
参考資料
新電気2023,11月号 現場の疑問解決塾「インバータ」より画像引用

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