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避雷器についての基礎知識まとめ

高圧受電設備における避雷器(LA:Lightning Arrester/アレスタ)
設備を雷サージから守るための最も重要な保護機器の一つとなる。

電力会社からの高圧引込線を通して侵入する異常な高電圧(雷サージや開閉サージ)を大地に逃がし
設備内の変圧器開閉器、計器類などの機器の絶縁破壊を防ぐ役割を担っている。

目次

高圧避雷器の役割と仕組み

高圧避雷器の主な役割は
高圧設備(キュービクルなど)を異常電圧から守ることなっている。

異常電圧の抑制

  • 雷サージ
    落雷によって架空電線に侵入する瞬間的な高電圧・大電流。
  • 開閉サージ
    高圧の開閉器(スイッチ)を開閉した際に発生する過電圧

動作原理

  1. 通常時: 運転電圧(例:6,600V)では高い抵抗(絶縁状態)を示し、電流はほとんど流さない。
  2. 異常電圧時: 雷サージなどで異常な高電圧が加わると、瞬時に抵抗が低下(導通状態に変化)する。
  3. サージ電流の放流: 侵入したサージ電流をアース(大地)へ安全にバイパスさせる。
  4. 電圧の制限: 機器に加わる電圧を制限電圧以下に抑え、機器の絶縁を保護する。
  5. 続流の遮断: サージ放電後、電源から流れてくる続流(正常な交流電流)を瞬時に遮断し
          通常の絶縁状態に戻る

高圧避雷器の主な種類

現在、高圧受電設備で使用される避雷器の主流は
ギャップレス避雷器となっている。

ポイント: 酸化亜鉛素子(ZnO)は、通常の電圧では高い抵抗を示すが
異常電圧になると急激に抵抗が下がるという優れた非直線抵抗特性を持っている。

高圧避雷器の設置義務と設置場所(法規・基準)

高圧避雷器の設置は
電気設備技術基準の解釈によって義務付けられている。

設置義務の基準

以下の箇所、またはそれに近接する箇所には
原則として避雷器を設置する義務がある(電技解釈第37条)。

  • 高圧架空電線路から供給を受ける受電電力の容量が500kW以上の需要場所の引込口
  • 特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口

注: 500kW未満の需要場所では法規上の義務はないが、機器保護の観点から設置が強く推奨される。

高圧避雷器の適切な設置場所

避雷器の効果を最大限に発揮するためには
保護したい機器(変圧器、開閉器など)にできる限り近接して設置することが重要となる。

  • 高圧引込口
    電力会社の電線路から構内へ引き込む際の引込口(PAS、LBSなどの第1号柱付近やキュービクル引込口)。

  • PAS(高圧負荷開閉器)
    自家用電気工作物の波及事故防止のため、PASを保護する目的で
    PASと同柱に避雷器を設置することが重要視される。

  • 保護距離の目安
    避雷器と被保護機器との距離が50mを超えると
    サージ電圧が抑えきれなくなるリスクが高まるとされている。

高圧避雷器の点検・保守

避雷器は常時通電しているため、劣化や寿命がある。
そのため定期的な点検が重要。

目視点検(定期点検時)

外観に異常(ひび割れ、変色、損傷など)がないかを確認する。
※一部の避雷器には故障を知らせる表示窓があり、その色(例:赤色)を確認する。

特性点検(精密点検時)

アレスタチェッカーなどの専用測定器を用いて
避雷器の心臓部である酸化亜鉛素子の動作開始電圧(素子に微小電流を流したときの電圧)を測定し
劣化の有無を判断する。

推奨更新時期

一般的に10年程度での更新が推奨されているが
設置環境や落雷頻度によって劣化速度は異なる。

避雷器の接地抵抗値が適切であることも、効果的な動作のために極めて重要となる
(D種接地工事、接地抵抗値10以Ω下)

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