「1号柱」とは、電力会社の配電線路から受電設備(キュービクルなど)へ電力を引き込む際の
敷地内(需要家側)に最初に立てられる電柱を指す。
特に高圧受電設備において重要な意味を持つ電柱となる。
1号柱は、単なる電柱ではなく、電力供給における電力会社と需要家の責任の境界線を
示す重要なインフラであり、高圧引込開閉器(PAS/SOG)や避雷器といった
保安上不可欠な機器が設置される拠点となる。安全で安定した電力供給のために
その役割と機能が非常に重要な電柱となる。
責任分界点としての役割

1号柱の最も重要な役割の一つが
電力会社と需要家(電気を使用する側)との間の「責任分界点」となること。
- 電力会社側の設備
1号柱の手前(配電線路側)までは電力会社の設備であり
その保安・維持管理は電力会社の責任となる。 - 需要家側の設備
1号柱から先(受電設備側)は需要家の設備であり
その保安・維持管理は需要家の責任となる。
この責任分界点を明確にすることで、万が一事故や故障が発生した場合に
どちらの責任で対応すべきかを判断する基準となる。
設置場所と付帯設備

1号柱は、通常、需要家の敷地の境界付近や、受電設備(キュービクルなど)に近い場所に設置される。
1号柱には、責任分界点に位置する重要な機器が設置されることが一般的で
主な付帯設備としては、以下のようなものがある。
高圧引込開閉器 (PAS: Pole Air Switch / SOG: Sectionalizing Oil Switch with Grounding)

- 電力会社からの高圧線を引き込むための開閉器で
事故発生時に自動で回路を遮断したり、停電作業を行う際に手動で開閉したりする役割がある。 - PASは、特に高圧受電設備において、需要家側の設備で事故(地絡や短絡)が発生した場合に
電力会社の配電線路全体に影響が及ぶのを防ぐために非常に重要となる。
事故電流を検出し、遮断することで、他の需要家への波及事故を防ぐ。

避雷器 (LA: Lightning Arrester)

落雷などによる異常電圧から、受電設備や構内の電気機器を保護するために設置される。
1号柱に設置されることで、外部からのサージ電圧をいち早く大地に放流し、設備を保護する。
ケーブルヘッド/端末処理部

- 架空線から地中ケーブル(受電設備へ接続されるケーブル)へ切り替えるための接続部分。
高圧に耐えるよう、適切な絶縁処理が施される。
責任分界点表示
- 責任分界点であることを明示するための標識が取り付けられることもある。
1号柱の施設条件

新電気2019.06 現場の疑問解決塾 責任分界点ってなに? より画像引用
① 架空配電線路から最短距離で引込線が施設できること。
② 引込線や電柱が外傷を受けにくいこと。
特に、氷雪が多い地方では、屋根から落ちる氷雪、雪下ろしなどに注意が必要。
③ 引込線がなるべく屋上を通過しないで施設できること。
④ 引込線が他の電線路や弱電流線あるいは煙突、アンテナ、樹木などと十分離隔できること。
⑤ 駐車場などに施設する場合は、車により損傷を受けないこと。
法令上の位置づけ

「1号柱」という名称自体は法令で明確に定義されているわけではないが
電気設備の技術基準の解釈や内線規程などにおいて、電力引込点や責任分界点に関連する規定が存在し
その実務上の位置づけとして「1号柱」という呼び方が一般的に用いられている。

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