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過電流継電器(OCR)とVCB連動試験時に動作不安定(動作時間が長くなる等)となる主な原因の備忘録

目次

過電流継電器(OCR)とは

高圧電路の短絡や過負荷による過電流を変流器(CT)により取り出し、その電流値の大きさによって動作する継電器。

電気設備に規定以上の電流が発生した場合、発熱により電路や機器の故障が想定される。「過電流」は想定以上の電力を継続して使用した場合や、電路や機器の短絡により発生する。

これらの状況が継続して発生しないように、高圧の電気設備では過電流継電器(OCR)や電力用ヒューズ(PF)を使用して電路を保護する。

一般的に300kVAを超える受電設備では過電流を過電流継電器で検出し、遮断器を動作させることで設備を保護。
計測する電流は、計器用変流器(CT)で電流変換を行い過電流継電器に入力する。

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TERASU辞書「過電流継電器(OCR) の意味・解説・呼称などより引用」

VCBについて

真空遮断器のこと指し、高圧の電気が漏電や短絡などの事故が発生した際に、異常電流を遮断する機器のこと。

VCBの主な特徴

  • 高真空容器に電極を収め、絶縁性を高めている
  • 遮断騒音が小さく、遮断能力が高い
  • 定常状態での負荷電流の開閉や、事故時には定格電流の数倍から数10倍の短絡電流を遮断可能

VCBには事故を検出する機能がないため、事故回路を遮断するために、過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR又はDGR)と組み合わせる必要がある

VCB組合せ試験時に動作不安定や時限が長くなる原因のまとめ

①スライダックによる試験電流値の生成ミス

例)瞬時電流40Aの動作試験時に試験電流を誤って30Aで試験した場合
  →動作時間が長くなる。

原因と対策→試験操作経験が浅い人による誤操作が多い。再度試験電流値の生成を行い、その際には経験者確認の下で試験電流を生成する。

②ストップ信号が「電圧」接点になっていいる   

④の個所が「電圧」接点となっている場合でVCB1次・2次やGショッカーを用いてトリップ信号を取りに行っている場合はカウンタが停止しない。

対策→試験機電源をOFFで確認後、ストップ信号を「電圧」→「接点」に変更して再度試験を行う

③VCB1次側・2次側のストップ信号が外れかけているor外れている

原因と対策→VCBが動作時に振動が生じるため、試験を複数回行うと時限測定コードの信号線が外れてしまう可能性がある。試験が上手くいかない場合は信号線が外れていないか確認し、外れていた場合は再接続して試験する。

VCBトリップコイルの印加電圧不足が不足している(電流引き外し型VCBで抵抗短絡0Ωで使用する場合)

電流引き外し型VCBで、設定電流を作るための出力電流切替SWの位置を大きくしすぎる(抵抗を抜きすぎる)と、出力電圧が低くなり、OCRが動作してもVCBからチチチ(シャラシャラ)音がして動作しない場合がある。(VCBトリップコイルの印荷電圧不足で、駆動部がチャタリングするため
測定時間が長くなる場合もあり、時限値が300%で正常、500%で長くなる等、試験電流が大きくなるほど生じやすくなる。

対策→出力電圧計がある試験機では、電流設定時に30V以上となるように出力電流切替SWを調整すれば、コイル抵抗10Ωであるので、コイル電流が安定動作域である3A以上になり、VCBは安定に動作する。測定値が想定値よりも大きいと感じる場合は、前項のOCR単体試験を行い、差分でVCB動作時間を算出する。
例)500%の単体動作時間と連動動作時間を比較して50ms+3サイクル以内ならVCBが安定的に動作している。
  単体動作:40ms
連動動作:80ms
  連動動作-単体動作=40ms(VCBの動作時間)で判定基準内で「良判定」

電圧引き外し型では、CTD等の外部動作電源が活きていれば、トリップコイル電流値に関係なくVCBは動作する。

https://hanasaka.life.coocan.jp/denki/ocr_kyouchou.pdf
「過電流継電器(OCR)の保護協調線図を活用した整定と試験の実際」より一部引用

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