
図:高圧ケーブルの構造(単心)
高圧ケーブルは、高い電圧(一般的に直流750V、交流600Vを超えるもの)の電力を
送電・配電するために用いられるケーブル。(上図参照)
高圧ケーブルは、低圧ケーブルと同様に、導体を絶縁物で被覆した上を
さらに外装で保護した構造となる。
低圧ケーブルと異なるのは、絶縁被覆と外装の間に金属製の遮へい層があること。
低圧ケーブルとの違い
高圧ケーブルは、低圧ケーブルと異なり高電圧なので
その表面に触れると感電の危険がある。
これを防止するために遮へい層が設けられている。
この場合、遮へい層を接地しなければ、その効果は得ることができない。
また、遮へい層には誘導防止の効果もある。
※遮へい層はシールドともいう。
高圧ケーブルの構造
ケーブルの構造は電技第1条(用語の定義)では
「電気導体を絶縁物で保護した上をさらに保護被覆で保護したもの」と定義としている。
ケーブルの構造は下記図参照

左:6kV3心一括形CVケーブル 右:トリプレックス形CVケーブル
高圧ケーブルの構造概略
- 導体
電流を流す部分で、主に銅が使われる。 - 内部半導電層
導体と絶縁体の間に設けられ、電界を均一にし
絶縁体へのストレスを緩和する役割がある。 - 絶縁体
高電圧から周囲を隔離し、漏電を防ぐ最も重要な部分。
主に架橋ポリエチレン(CVケーブルの「CV」)が使用される。 - 外部半導電層
絶縁体と遮蔽層の間に設けられ、ここでも電界を均一にする役割がある。 - 遮蔽層(シールド)
外部からのノイズの影響を抑え、ケーブル内部の電界を外部に漏らさないようにするための金属層。
軟銅テープなどが用いられる。 - 押さえテープ
遮蔽層を固定する。 - シース(外被)
ケーブル全体を保護する外側の被覆で、ビニル(CVケーブルの「V」)などが使用される。
耐候性や難燃性も考慮される。
内部半導電層設置の目的
① 導体はより線で、その表面は平滑でないため、絶縁体に均一な電界が印加されない。
導体の周りに半導電性材料を導体と一緒に押し出して形成することにより
導体表面を平滑な円として、突起物などがないようにして、均一に電界が加わるようにしている。
② 負荷の変動によりケーブル導体は、膨張と収縮を毎日繰り返している。
そのため、導体と絶縁体との間に空隙が生じ、部分放電が発生して絶縁体が劣化することを防止する。
絶縁体設置の目的
電力ケーブルの絶縁体としては、架橋ポリエチレンが主流である。
ポリエチレンの電気特性が優れていることはよく知られているが
ケーブル絶縁体として使用されている低密度ポリエチレンの結晶融点は
110〜115℃付近で軟化する欠点がある。
架橋ポリエチレンは、ポリエチレンの分子間を架橋させて
ポリエチレンが融点以上に過熱されると結晶状態になっていた分子が
弾き放され液状となる欠点を解消して、融点を超えても液状とならず熱軟化性が大幅に改善されている。
このような分子間結合を架橋(Crosslinked)という。
※架橋ポリエチレンは、温度特性に優れ、常時90℃、連続使用で30〜50年に耐える性能を持っている。
外部半導電層の目的
①絶縁体と遮へい銅テープ間の機械的な緩衝材として施されている。
②外部半導電層の施し方は、テープ式または内部半導電層・絶縁体・外部半導電層を
一括して押し出す三層同時押出方式の2タイプがある。
下記図に内・外部半導電層による分類を示す。

新電気2019.9 電線・ケーブル詳細解説より画像引用
E-TタイプとE-Eタイプについて
E-TタイプとE-Eタイプは
内部半導電層と外部半導電層の加工方法(押出式かテープ巻き式か)の違いで
E-Eタイプは3層(内部半導電層、絶縁体、外部半導電層)を同時に押出加工することで
絶縁体との界面を平滑にし、水トリー(絶縁体の劣化現象)耐性を向上させている。
近年、水トリー対策で多くの需要家で推奨されている。
遮へい層の設置目的
①絶縁体に加わる電界方向を均一にして、耐電圧性能を高める。
②通信線への静電誘導を防止する。
③高電圧になると静電誘導により人体に危険を及ぼすため
金属遮へい層を設けて接地する必要がある。
この接地種別は
電技解釈第123条【地中電線の被覆金属体等の接地】より
D種接地工事とし、ケーブル内で発生した一線地絡電流を安全に流さなければならない。
高圧CVケーブルの選定方法

下記の3点を参照して選定を行う
①許容電流
| 公称断面積 [mm2] | 気中・暗きょ布設 (1回線) [A]CV3心 / CVT | 気中・暗きょで電線管内布設 [A]CV3心 / CVT | 直接埋設 (1回線) [A]CV3心 / CVT | 管路布設 (1回線) [A]CV3心 / CVT |
| 8 | 61 / - | 52 / - | 70 / - | 58 / - |
| 14 | 83 / - | 69 / - | 90 / - | 79 / - |
| 22 | 105 / 120 | 89 / 95 | 120 / 135 | 100 / 110 |
| 38 | 145 / 170 | 120 / 130 | 160 / 180 | 135 / 155 |
| 60 | 195 / 225 | 160 / 175 | 210 / 235 | 175 / 200 |
| 100 | 265 / 310 | 220 / 235 | 280 / 310 | 235 / 270 |
| 150 | 345 / 405 | 285 / 305 | 350 / 390 | 295 / 340 |
| 200 | 410 / 485 | 340 / 370 | 405 / 450 | 350 / 400 |
| 250 | 470 / 560 | 400 / 430 | 455 / 510 | 395 / 450 |
表:高圧CVケーブルの許容電流
許容電流とは、ケーブルに流すことができる電流の最大値のこと。
ケーブルに電流を流すと、導体が持つ若干の抵抗によりケーブルが発熱する。
発熱により、ケーブルが劣化したり被覆が溶融したりするため、流すことができる電流値を制限している。
→想定される負荷電流以上の許容電流のケーブルを使用する必要がある。
許容電流は、ケーブルの使用条件(周囲温度、配置、布設方法、条数など)により異なるので
これらを確認してケーブルサイズを選定する。
また、ケーブル亘長が長い場合には、許容電流だけではなく、電圧降下も考慮する必要がある。
上表に、高圧CVケーブルの許容電流を示す。
②短絡時許容電流
短絡時許容電流とは、事故時など極めて短時間(保護装置が動作して回路を遮断するまで)ケーブルが
損傷しないで耐えられる電流の最大値のこと。
ケーブルサイズの選定には、負荷電流と許容電流の関係以外に、短絡時許容電流の検討も必要となる。
(短絡電流などの大電流が流れたときでも、ケーブルが損傷してはならないため)
銅導体の場合の短絡時許容電流は、短絡前の導体温度を 90℃、短絡時の最高許容温度を 230℃とすると
次式で求められる。


具体例
6.6kV CV 38mm^2 の短絡時許容電流。
短絡電流の持続時間を 0.15 秒(OCR の瞬時要素 50ms+5 サイクル遮断器)とすると、

これより、受電点の短絡電流が 12.5kA の場合
38mm^2 以上の太さのケーブルを選定することになる。
③半導電層によるケーブル選定
| 内部半導電層 | 外部半導電層 | 名称 |
| 半導電性布テープ | 半導電性布テープ | T-T 形 |
| 押出し半導電層 | 半導電性布テープ | E-T 形 |
| 押出し半導電層 | 押出し半導電層 | E-E 形 |
表:半導電層による組み合わせ
半導電層は絶縁体との密着をよくして空隙をなくすことや電界の集中を防ぐためのもの。
半導電層の製造方法には、テープ巻方式と押出し方式とがあり
内部半導電層と外部半導電層の組み合わせにより、ケーブルには上表の要に分けられる。。
現在、内部半導電層は押出し方式が標準で
外部半導電層がテープ巻方式(E-T 形)か押出し方式(E-E 形)かの 2 種類がある。
このうち E-E 形は E-T 形に比べて耐水ツリー性が優れているので
地中管路内での布設など、水の影響がある場合には、E-E 形の使用を推奨しされる。
※E-E 形は内部半導電層、絶縁体、外部半導電層の 3 層を一括同時押出し成形したもの。
参考資料
日本電線工業会規格JCS 0168-3より表引用

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