目次
引き外し方式についての概略

過電流継電器 (OCR) が遮断器 (CB) に開放動作をさせることを
「引外し」という。
また、引外しに必要なコイルを「引外しコイル」という。
「引外し」には下記の方式があ
コンデンサ引外し方式の概略
電圧引き外し型は、動作電源がOCR内部a接点により印加されてVCBが動作する。
ほとんどの高圧受電設備では制御用バッテリーがないため電源喪失時の不動作防止として
動作電源に下記図のCTDを使用するコンデンサトリップ方式(コントリ)が使用される。

コンデンサ引外し方式(CTD)はVT二次側から交流電源をもらって直流に整流し
内部のコンデンサで直流電荷を蓄え、トリップ信号がきたらその電荷を
放電することでTC(トリップコイル)を励磁する。
試験する際は、AC100Vを入力するのでVTの一次側へステップアップ(逆充電)させないことが重要になる。
コンデンサ引外し方式の動作原理

遮断器一次側に設置した計器用変圧器の交流電圧を整流して
常時アルミ電解コンデンサに充電し、継電器動作時にその電荷で引外しコイルを励磁させる方式。
直流電源の代わりにコンデンサに蓄えた電荷を利用する方式ともいるが
その基本構成部品であるアルミ電解コンデンサの寿命は一般的に6~10年といわれ、定期的な更新が必要となる。
CTDが故障した場合、CBの引外し電源を喪失することになるので
点検時は充電表示灯の確認をする必要がある。
- 充電
普段は、外部の交流電源(計器用変圧器(VT)の二次側など)から
整流回路を通してコンデンサが充電されている。 - 過電流検出
CT(変流器)によって検出された電路の過電流が
過電流継電器の設定値を超えると、継電器の接点が動作する。 - 放電とトリップ
継電器の接点が動作すると、充電されていたコンデンサに蓄えられた直流電力が
遮断器のトリップコイルに放電される。この放電電流によってトリップコイルが励磁され
遮断器が電路を遮断する。
コンデンサ引外し方式の特徴

- 外部電源の利用
遮断器の引き外しに、CT二次電流ではなく、別途用意されたコンデンサの電力を使用する。 - 高い信頼性
CT二次回路に異常が発生した場合でも、コンデンサに電力が蓄えられていれば
確実に遮断器を引き外すことができる。 - 停電時の動作
停電が発生した場合でも、コンデンサに電荷が残っていれば
ある程度の時間内であれば遮断器の引き外し動作が可能となる。 - CTへの負担軽減
大きな短絡電流が発生した場合でも、CTに過大な負担がかかるのを避けることができる。 - 交流電源が必要
コンデンサを充電するために交流電源が必要となる。
コンデンサ引外し方式のメリット・デメリット

メリット
- CT二次回路の信頼性に依存しないため、より確実に遮断器を動作させることができる。
- 停電時にも、一定時間内であれば遮断器の操作が可能。
- 大きな短絡電流によるCTへの負担を軽減できる。
- 電流引き外し方式に比べて、一般的に動作の信頼性が高い。
デメリット
- 電流引き外し方式に比べて、設備コストが高くなる場合がある。
- コンデンサや充電回路などのメンテナンスが必要になる。
- 交流電源が途絶えると、コンデンサの再充電ができず
複数回のトリップ動作ができない場合がある(残留電荷による回数制限があり)。 - 電圧引き外し方式(直流電源方式)と比較すると
停電時の動作可能時間が短い場合がある。 - CBの設置数だけコンデンサ引き外し装置が必要となる。
コンデンサ引外し方式を使用する環境

- 高圧受電設備など、信頼性の高い保護が求められる箇所で使用される。
- 電流引き外し方式では信頼性が確保できない場合や
CTへの負担を軽減したい場合に採用される。
他の引き外し方式の比較表

参考資料
新電気2019年11月号 「特集保護継電器Q&A」より引用
新電気2020年 4月号「特集 保護継電器のリレー試験の基礎知識」より一部引用

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