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Ior(抵抗分漏れ電流)の測定方法の備忘録

「Ior」は、電気設備の絶縁劣化による抵抗成分の漏れ電流を指す。
通常の漏れ電流(Io)には、抵抗成分(Ior)の他に、対地静電容量による容量成分(Ioc)が含まれており
絶縁劣化の判断にはIorの測定が重要となる。

目次

Iorの測定方法

ベクトル演算方式(クランプメータによる測定)

最も一般的な方法で、Iorリーククランプメータと呼ばれる専用の測定器を使用する。

原理

  • 通常の漏れ電流(Io)は、電圧(V)と電流(I)の位相差を考慮したベクトル和として測定される。
    Iorは、このIoから対地静電容量による容量成分(Ioc)の影響を取り除いた、抵抗成分のみの電流のこと。
    Iorリーククランプメータは、電路の電圧の位相を基準として
    漏れ電流をベクトル解析することで、Iorを算出する。
    具体的には、Ior = Io × cosθ の演算式で求められることが多い
    (θは電圧と漏れ電流の位相差)

    ※三相3線デルタ結線など、結線方式によっては演算式が異なる場合がある。

測定手順(一般的な例)

1.測定器の準備
Iorリーククランプメータと電圧コードを準備する。

2.クランプと電圧接続
測定したい電路の電線をクランプセンサでクランプする
(単相2線なら2本一括、単相3線・三相3線なら3本一括など、結線方式に応じて適切にクランプする)。
電圧コードを測定対象回路の基準電圧に接続する
(単相電路ならL1、N、L2のいずれか2線、三相電路なら接地相以外の電圧相の2線など)。


3.測定ファンクションの選択
測定器のファンクションスイッチを回し、「Ior」測定モードを選択する。


4.測定値の確認
測定器のディスプレイにIor値が表示される。

    <注意事項>
    Ior測定には位相精度が非常に重要。
    測定器とクランプセンサは、出荷時に組み合わせて位相調整されていることが多い。
    落下や衝撃で位相が変化する可能性があるので注意が必要。
    高調波の影響を受けにくい乗算演算方式を採用している測定器もある。
    Io値が測定レンジを超えていると、Ior値が演算できない場合がある。

    Ior測定の重要性

    Ior測定は、活線状態で絶縁抵抗を測定できるため、以下の点で非常に重要。

    • 無停電での絶縁管理
      設備を停止させることなく、リアルタイムで絶縁状態を監視できる。

    • 絶縁劣化の早期発見
      漏れ電流の抵抗成分を直接測定することで、絶縁劣化の兆候を早期に捉え
      事故を未然に防ぐことができる。

    • 設備診断の効率化
      定期点検やトラブルシューティングにおいて、効率的な絶縁診断が可能。

    参考資料

    chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.sanwa-meter.co.jp/japan/pdf/manual/clamp/I0R500_JP.pdf
    Ior500 アイゼロアール500 Iorリーククランプメーター 取扱説明書

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