基本的な考え方:抵抗と電力損失について

ケーブルには電気抵抗があり、以下の要因によって決まる。
- 長さ(亘長)
長いほど抵抗は大きくなる。 - 断面積(太さ)
太いほど抵抗は小さくなる。 - 素材
銅やアルミニウムなど、素材によって固有の抵抗率が異なる。
充電電流がケーブル内を流れると、この抵抗によってエネルギーが熱として失われる。
これが電力損失(Ploss)電力損失は以下の式で表される。
Ploss=I2×R
I :電流
R :ケーブルの抵抗
電流(I)が大きくなると、電力損失は電流の2乗に比例して急増する。
=ケーブルが長くなれば(R が大きくなれば)、電力損失も増加する。
基本的な考え方:電圧降下について

充電電流がケーブルを流れると、ケーブルの抵抗によって電圧が少しずつ低下する。
これを電圧降下(Vdrop)と呼ぶ。
オームの法則により、電圧降下は以下の式で表される。
Vdrop=I×R
オームの法則からわかること
- 電流が大きいほど電圧降下は大きくなる。
- ケーブルが長いほど(R が大きいほど)電圧降下は大きくなる。
電圧降下は、充電器から供給される電圧が
実際に充電対象の機器に到達するまでに減少することを意味する。
ケーブル亘長と充電電流の関係性の具体的な影響

充電時間の増加
- 電圧降下
ケーブルが長く、電圧降下が大きい場合、充電対象機器に供給される電圧が低くなる。
電圧が低いと、同じ電力を供給するために必要な電流が増えるか
あるいは充電に時間がかかることになる。 - 電力損失
長いケーブルでの電力損失は、供給される電力が熱として消費されることを意味する。
結果として、機器に到達する有効な電力が減少し、充電に要する時間が長くなる。
特に高出力充電の場合、この影響は顕著になる。
充電効率の低下と発熱
- 電力損失
長いケーブルでは電力損失が大きくなるため
充電器から供給されたエネルギーの一部がケーブル内で熱に変換されて失われる。
これは充電効率の低下を意味する。 - 発熱
電力損失は熱として放出されるため、ケーブルが発熱する。
特に大電流を流す場合や、ケーブルが細い(抵抗が大きい)場合は
許容温度を超えてケーブルが損傷したり、最悪の場合、火災の原因となる可能性もある。
適切な充電電流の選定とケーブルの太さ
- 充電電流の上限
各ケーブルには、安全に流すことのできる最大電流(許容電流)が定められている。
これは、ケーブルの発熱や損傷を防ぐためのもの。
ケーブルが長くなると、同じ充電電流でも発熱しやすくなるため
より太いケーブル(抵抗の低いケーブル)が必要になる。 - 電圧降下の許容範囲
充電対象の機器が正常に充電されるためには、供給される電圧がある一定の範囲内である必要がある。
長いケーブルを使用する場合、電圧降下が大きくなりすぎると
機器が正常に充電できない、あるいは充電モードが切り替わってしまうなどの問題が発生する可能性がある。
まとめと考慮すべき点

短いケーブルが理想
可能であれば、充電器と機器の距離を近づけ
短いケーブルを使用するのが最も効率的。
適切なケーブルの選択
長いケーブルを使用する必要がある場合は
流す充電電流に見合った太さ(断面積)のケーブルを選択することが重要。
特に、高出力充電を行う場合は、電圧降下と発熱を考慮し、より太く高品質なケーブルを選ぶ必要がある。
許容電流の確認
ケーブルや充電器には許容電流や定格電力の記載がある。
これらの仕様を確認し、安全な範囲内で使用するようにする。
発熱の確認
充電中にケーブルやコネクタが異常に熱くなる場合は
電流が大きすぎるか、ケーブルに問題がある可能性がある。
すぐに使用を中止し、原因を特定するか、より適切なケーブルに交換することを検討が必要。
ケーブル亘長の限界について(参考資料)
ケーブルの亘長と充電電流の関係表


新電気2019年 7月号 現場の疑問解決塾「もらい事故ってなに」より画像引用

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