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シールドケーブルにおける両端接地についての備忘録

目次

高圧ケーブルにおけるシールド線の主な役割

静電遮へい (電界の均一化)

  • 高圧ケーブルの導体と大地間には高い電位差が生じる。絶縁体だけに頼ると
    電界が不均一になりやすく、局部的に高い電界集中が起こり、絶縁破壊の原因となることがある。
  • シールド線(通常は金属テープや編組線)を絶縁体の外側に設けることで、導体からの電界を遮へいし
    絶縁体内の電界分布を均一化する。これにより、絶縁体の負担を軽減し、耐電圧性能を向上させる。

誘導障害の防止

  • 高圧ケーブルを流れる電流や高い電圧は、周囲の通信線や弱電流回路に電磁誘導によるノイズを与える可能性があります。
  • シールド線は、この誘導ノイズを低減する効果がある。

漏洩電流の抑制と接地

  • 絶縁体が完全に絶縁を保てなくなった場合、漏洩電流が発生する可能性がある。
  • シールド線を適切に接地することで、この漏洩電流を安全に大地へ流し、感電事故を防ぐ。
    また、地絡保護継電器(ZCT)と組み合わせて、地絡事故を検出する役割も担う。

高圧ケーブルのシールド線の種類と構造

高圧ケーブルのシールド線は、主に以下のような構造が用いられる。

  • 金属テープ巻(銅テープなど): 薄い金属テープを螺旋状に巻いた構造で、柔軟性があり
                   絶縁体の表面に密着させやすいのが特徴です。
  • 編組線(銅線など): 細い金属線を編み込んだ網状の構造で、可とう性に優れている。
  • 押出し半導電層: 内部半導電層と外部半導電層として、絶縁体と同時に押出し成形される場合がある。
            これにより、絶縁体との界面が滑らかになり、耐水トリー特性が向上する。

高圧ケーブルにおけるシールド線の接地

高圧ケーブルのシールド線の接地は、安全確保とノイズ対策の観点から非常に重要。

  • 片端接地: ケーブルの片側のみを接地する方法で、誘導電流によるシールド線の電位上昇を抑える効果がある。
        一般的にケーブル長が短い場合に採用される。
  • 両端接地: ケーブルの両端を接地する方法で、シールド効果を高めることができるが、
         接地線間に誘導電流が流れやすくなるため注意が必要。ケーブル長が長い場合に採用されることあり。

注意点

  • 高圧ケーブルのシールド線の接地方法を誤ると、地絡保護が 上手く動作しなかったり
    ノイズの原因になったりする可能性がある。
  • ZCTを使用する場合は、電源側と負荷側の両方でシールド線を接地(両端接地)すると
    不要動作の原因となることがあるため、適切な接地方法を選択する必要がある。

シールドケーブルにおける両端接地について

図:CVTケーブルの両端接地

ケーブルが長くなると、遮へい層に誘起する電圧が大きくなるため上記図のように
両端の遮へい層を接地することがある。
→両端接地

両端接地方式の注意点は次のとおりである。

両端接地の注意点

● 上図のようにケーブル内で地絡したとき
地絡電流は遮へい層を通じて両端の接地地点に分流する。
このため、地絡電流を検出する零相変流器(ZCT)
通過する電流が減少して検出感度が低下する。
しかし、ケーブルにZCTが設置されていなければ両端接地しても差し支えない。
下記図はその一例で、高圧気中開閉器(PAS)内に地絡保護装置があるので
ケーブルの両端接地で地絡電流が分流してもPASの地絡保護に支障はない。


●両端接地していると、遮へい層が破断しても健全相の遮へい層リード線を
通じて破断相の遮へい層は接地が確保されるので、破断による事故はとりあえず避けることができる。

●高圧CVケーブルの絶縁測定は、高電圧5kVメガによる G端子接地法が一般的に行われている。このとき
遮へいを接地した状態では測定できないので測定時には仮に遮へい層を大地から浮かす処置が必要になる。

参考資料

新電気2019年 10月号実務理論シリーズ第2回
「CVケーブル遮へい層の 接地方式とその取扱い両端接地方式および片端接地・片端ループ方式 編」
より一部引用

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