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受電設備容量の制限についての備忘録

受電設備容量は、ビルや工場、商業施設などが電力会社から電気を受け取るために
必要な設備の最大電力供給能力を指す。
これは、施設で使用する電気機器の総量や特性に基づいて決定され
電力契約の種類や電気料金に大きく影響する。

目次

受電設備容量の重要性

  • 電力契約の基盤
    電力会社との契約電力を決定する上で最も重要な要素。
    契約電力が大きければ基本料金が高くなり、小さすぎると供給能力が不足
    ブレーカーが落ちるなどの問題が発生する。
  • 設備投資の決定
    受電設備容量に応じて、変圧器開閉器配電盤ケーブルなどの電気設備のサイズや費用が決まる。
    適切な容量を選定することは、初期投資の最適化につながる。
  • 効率的な運用
    必要以上に大きな容量を設定すると、設備の利用率が低くなり
    無駄なコスト(基本料金など)が発生する。
    逆に容量が不足すると、電力の使用に制限がかかり、生産性や快適性が損なわれる
  • 電力品質の維持
    適切な容量の設備は、電圧変動や停電のリスクを低減し、安定した電力供給を可能にする。

受電設備容量の決め方

受電設備容量の算出には、いくつかの方法と考慮すべき点がある。

機器の定格出力の合計

施設内に設置される全ての電気機器(照明、空調、モーター、パソコン、生産設備など)の
定格出力(消費電力)を合計する。
ただし、全ての機器が同時に最大出力で使用されることは稀なので
この合計値がそのまま受電設備容量になるわけではない。

需要率(Diversity Factor)の考慮

需要率とは、総設備容量に対する実際に同時に使用される電力の割合を示す係数。
一般的に般的に一般的に1より小さく、施設の用途によって異なる。
 (例: オフィスビル、工場、病院など)。

ピーク負荷
過去の電力使用実績や、将来の予測に基づいて、最も電力を消費する時間帯(ピーク時)の負荷を算出する。

計算式: 受電設備容量 ≒ (全機器の定格出力の合計) × 需要率

負荷率(Load Factor)の考慮

負荷率とは、一定期間(1日、1ヶ月など)の平均需要電力と最大需要電力の比率。
負荷率が高いほど、設備が効率的に利用されていることを示す。
受電設備容量の選定そのものよりは、選定後の運用効率や料金プランの選択に影響する。

力率(Power Factor)の考慮

力率は、消費電力のうち実際に仕事に利用される電力の割合を示す指標。
力率が低いと無効電力が多くなり、必要な皮相電力(設備容量)が大きくなる。
力率改善装置(進相コンデンサなど)を導入することで、必要な受電設備容量を抑えることができる。

将来の拡張性

将来的に機器が増設されたり、施設の用途が変更されたりする可能性を考慮し
ある程度の余裕を持たせることが重要。
※過剰な余裕はコスト増につながるため、バランスが重要。

起動電流の考慮

モーターなどの機器は、起動時に定格電流の数倍〜数十倍の大きな電流(起動電流)が流れることがある。
この起動電流を考慮しないと、瞬時電圧低下やブレーカーの誤動作を引き起こす可能性があるため
特に大きなモーターがある場合は慎重な検討が必要。

受電設備容量の検討プロセス例

  1. 負荷調査: 施設内のすべての電気機器のリストアップと定格電力の確認。
  2. 運転状況の把握: 各機器の稼働時間、同時運転の有無、起動頻度などを把握。
  3. 需要率の推定: 施設の用途や過去の実績から適切な需要率を設定。
  4. 計算: 算出されたピーク負荷に基づいて、必要な受電設備容量を仮決定。
  5. 将来計画の確認: 増設予定や事業計画を確認し、将来的な余裕を考慮。
  6. 電力会社との協議: 最終的な容量を決定する前に、電力会社と協議し
    最適な契約プランや受電方式についてアドバイスを受ける。

受電設備容量の制限についての備忘録

高圧需要家においてCBを選定するにあたり留意すべき点は
単純化・経済化を図ったPF・S形が基本的に受電設備容量300kVA以下に制限されているのに対し
CB形はキュービクル式高圧受電設備を除き、受電設備容量が制限されていないことである。
しかしながら、高圧受電設備は、一般送配電事業者から契約電力(最大電力と考えてよい)を原則として
2000kW以下に制限しているため、おのずと受電設備容量にも限界値は生まれる。

受電設備容量の制限

高圧受電設備規程(以下、規程)に基づけば、主遮断装置の形式としてCBを選定する場合は
次に示すように箱に収めない方式と箱に収める方式に区分されている。
ここで、受電設備容量とは、受電電圧である6.6kVで使用する高圧の変圧器
高圧の電動機の機器容量 [kVA] の合計をいう。
なお、高圧の電動機は、定格出力 [kW] を機器容量 [kVA] とし
高圧の進相コンデンサは含めない。
また、負荷設備に高圧の電動機を使用できるのは、CB形のみである。

●箱に収めない方式

箱に収めない方式とは、組込式あるいは開放式と呼ばれている受電設備であり
屋内式では受電室(電気室または変電室ともいう)などにパイプフレームを組んで
高圧機器や電線を固定する方式である。
なお、屋上・地上式に区分されている屋外式もある。
本方式は、受電設備容量に制限はない。

●箱に収める方式キュービクル式高圧受電設備

日本工業規格であるJIS C 4620に基づき製造された「キュービクル式高圧受電設備」であり
公称電圧6.6kV、周波数50Hzまたは、60Hz、系統短絡電流12.5kA以下の電路に用いられる。
CB形では、本規程に基づき製造された方式のみ受電設備容量が4000kVA以下に制限されている
※規格では高圧の受電設備として使用する機器一式を一つの鋼板の箱に収めた設備を
「キュービクル」と定義している。

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